第2章
1節―旅の中で―
牛魔族
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
ソウヤが自分の事を宣言した後、周りは静かにソウヤの次ぐ言葉をじっと黙ってみていた。
それをソウヤは感じたのか、サイレンを仕舞って静かに周りの冒険者を見つめていると、不意に口を開ける。
「お前らは攻撃さえしていれば良い。俺が盾役をする」
「……それは認められません」
「ん…?」
ソウヤが言った言葉を即答するようにさきほどからリーダー役を任されていたと思われる男が話しかける。
その男は黒髪、黒目でその黒さを否定するように、きらめいている重装備の鎧が存在を主張しており、長剣と大型の盾を装備していた。
見た目的に盾役か…とソウヤは見当をつけるとその男に言葉を返す。
「だが、お前よりかは勤まるがな」
「そんなわけないね。僕だってこの大陸で二つ名を得ているんだ。…僕は『鉄壁障害』のユウイチだよ」
その男…ユウイチはそういうと、微笑んでみせる。
ソウヤはその微笑みを見てイケメンだ…うざ…などと散々な気持ちだったが、それは顔に出さずそのままの表情で言葉を紡いだ。
「確かに1人でも盾役は居た方がいいだろうな…普通なら。ちょっと外来い、良いもの見せてやる」
ソウヤはそれだけ言うと外に向かって歩き始めると、静かに見守っていたエレンとルリとソウヤの後に続いていく。
ユウイチは目を静かに細めると、外に続いていった。
それを見ていた冒険者たちは、顔を各自で見合わせると全員が全員外に向かって走り出す。
ソウヤは広い場所にたどり着くと、ユウイチの方へ顔を向け鞘からサイレンを取り出して上方へ向け、空間魔法を発動させた。
「は、はは…。ありえない、なんだこれ…」
次の瞬間、ソウヤの手のひらには巨大なグリップが握られており、そのグリップから5mもの巨大な刃が伸びていた。
それを見た冒険者は巨剣使いによって能力が倍加され、その溢れ出た強烈すぎる威圧感に冒険者全員がしりもちをついて、ユウイチもなんとか立っているのがやっとらしい。
エレンとルリはその威圧感の対象にはなっていないので、静かに見つめるだけだった。
「もしかしたら盾役やっていたら巨剣の刃の犠牲になると思うが…。俺に盾役を任せる気になったか?」
「ク…ッ。わかったよ、任せるよ…」
「わかってくれて何よりだ」とソウヤは声を出して、そしてしりもちをついて震えあがっている冒険者たちを見て、ため息をついた。
巨剣を空間魔法で通常状態に戻して、サイレンを鞘にしまうと冒険者たちに向けている威圧感を少し緩める。
大分マシになったのか冒険者たちが立ち上がっていくのを横目に、俺は全員に声をかけた。
「とにかく、俺だけが盾役をするからお前たちは攻撃役を務めてくれ。あと、ユウイチ…だった
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ