245部分:第二十一話 劉備、友を選ぶのことその六
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第二十一話 劉備、友を選ぶのことその六
「あの地を任せられる者は」
「今は我慢するしかありませんか」
「仕方ありませんか」
「うむ。仕方あるまい」
何進も今は諦めるしかなかった。
「人がおらぬのではな」
「はい、司馬慰殿は都から動かせませんし」
「宦官達もいますから」
「せめて宦官共さえおらなければじゃ」
語るその顔がさらに忌々しげなものになる。
「全く違うのにじゃ」
「はい、まさに」
「今は」
「仕方がないのう」
溜息交じりにまた述べたのだった。
「今は」
「はい、それでは今は」
「まずは北をですね」
「烏丸を倒す」
何進は言い切った。
「よいな、今からじゃ」
「はい、それでは」
「その様に」
こんな話をしながら北に向かっていた。そうしてであった。
まずは斥候に出ていた高覧からだ。報告があった。
「敵、来ました!」
「遂にですのね」
「はい、数にして五万」
その数も述べられる。
「それだけです」
「五万?」
「それだけだというの?」
それを聞いてだ。進軍する袁紹の両脇にいた田豊と沮授が声をあげた。
「烏丸は数にして三十万近く」
「戦える者は十万近いと聞いていますが」
「それでは今目の前にいる敵は」
袁紹は二人の話を聞いて怪訝な目になった。
「一軍に過ぎませんわね」
「伏兵か、若しくは奇襲を仕掛けて来るか」
「そうしてくるかと」
「わかりましたわ。それでは」
二人の軍師の言葉を聞いてだ。袁紹はすぐに決断を下した。
「黒梅」
「はい」
傍にいた麹義に対して告げる。
「すぐに兵を率いてあの者達を討ちなさい」
「すぐにですね」
「そう、弓兵に騎兵を用いて彼等を倒しなさい」
こう麹義に告げるのだった。
「宜しいですわね」
「わかりました、ではすぐに」
「私達は正面から戦いますわ」
袁紹はその正面を見据えながら述べた。
「そしてその間に」
「今曹操殿から早馬が来ました」
田豊の言葉である。
「今から敵軍の側面を衝くとのことです」
「わかっていますわね、華琳も」
袁紹は田豊の言葉を聞いて満足した顔で微笑んだ。そうしてだった。
「我が軍はこのまま正面から向かいますわ」
「了解です」
「それでは今から」
「おそらく今先陣が敵軍と衝突している筈」
袁紹はこのことを既に予測していた。
「我が軍は後ろからフォローしますわ」
「じゃあ今から」
「行きましょう」
顔良と文醜が言ってであった。そうしてだった。
袁紹軍と曹操軍が敵に向かうその時にだ。劉備率いる先陣は烏丸五万の大軍と戦闘に入っていた。
五人は劉備を守るようにして戦う。槍に矛、それに弓が戦場で煌く。
「たあっ!」
張飛がその蛇矛を前に突
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