第1章
4節―茨の旅の決意―
港街ポールト
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だが。
「おいそこの小僧、横の女と手持ちのお金全部置いてお家帰んな」
「嬢ちゃん、そんな細い体の男じゃ満足できねぇだろ?」
いわゆる、簡単な賊というやつだ。
ここは港町ポールトの近くということは、ごく最近職を失って住む家を失った人なのだろう、とソウヤは結論付ける。
―ただ、港町っていうのは大抵栄えてるものだ。普通に働いてれば住む家失うまで行かないだろ。
纏めてしまえば、“そういうこと”を仕出かした奴らだということだ。
ならば見逃すという選択肢はソウヤには存在しない。
それに、この男たちはルリの体も狙っている、という事実に腹が立たない訳が無かった。
ソウヤは男たちの視線からルリを護るように立つと、目を細めて威圧する。
「悪いがお前らにやるものは何一つない。お前らこそ命が惜しければ、一生こんなことしないと確約した上で失せろ」
ソウヤはこうやって自分さえよければ良い男たちが一番嫌いだ。
創造物上ではまだそういうのは許せるが、現実でやろうと思う者の気が知れない。
男たちはソウヤの言葉に顔を見合わせると、ありえないと爆笑した。
「あっはっは!冗談は止めとけガキ、大事なガールフレンドの前でカッコいいとこ見せたいのは分かるが、やっていい時と場所があるんだぜ」
「そういうお前らも口だけは達者だな」
段々冷めていくソウヤの言葉に、さすがに頭に来たのか青筋を立てる男3人。
「あ?調子乗るなよ小僧ッ!」
男はソウヤに飛びかかり、殴ろうと拳を振るった。
確かにその腕から放たれる拳は、“普通の人”ならば中々痛いのだろう。
“普通の人”ならば。
「――っら!」
「がッ…!?」
軽く首を横に傾げるだけで男の殴りを躱したソウヤは、そのまま任意正拳突きで男の腹を殴る。
それだけで男は吹き飛ばされた。
残った2人の男たちは、仲間が簡単にやられたことに動転し固まっている。
そんなこと露知らずにソウヤは殴った感触を確かめながら、小さく独り言を呟いた。
「戦士の状態でこれか。このままでも十分やっていけそうだな」
残った男2人はついに腰に吊り下げてあった剣を抜いて、こちらへ襲い掛かる。
けれどその動きは戦いに慣れていない素人そのもの。
肉体は凄いが、これは元々就いていた仕事上鍛えられたものなのだろう。
隙の大きい構えで振りかぶった男たちのうち、1人に向けてソウヤは軽く懐に潜り込むと腹目掛けて殴る。
それだけで、男は気を失い体中の力が抜けた。
―流石に体中筋肉まみれなだけあって、かなり重いな…。
内心愚痴を零しながら、もう1人の男が放った剣撃をソウヤは軽く躱しながら殴った男を地面に捨てる。
あまりに見た目と反した強さ
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