第1章
3節―平穏を裂く獣―
緩やかな旅
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ルリだ。
つまり、それは戦う者の姿である。
ソク老人が亡くなり、ソウヤの“亡霊解放”の『呪い』が解ける2日前。
旅立つ準備をせっせと行うソウヤに、ルリが唐突に一緒に旅をさせてほしいと頭を下げに来たのだ。
その理由を困惑しながらも問うソウヤに、ルリはただ「時が来たら」と一点張り。
結局、ルリの熱意に負けたソウヤは危険であると重々聞かせ了承する。
またその際に自身が非常に目立つ存在――つまり『均等破壊』のソウヤであることを明かした。
それと同時に、旅立つ際はばれない為に姿を変えることも。
姿を変える方法。
元の世界ならまだしも、この世界では非常に限られる。
だが、それをクリアする方法がソウヤにはあった。
いつの間にか増えていた二つ名の欄にある『幻想騎士』がその方法の原点だ。
『幻想騎士』の効果は職業能力に“月文字騎士”を追加することである。
“月文字騎士”は戦士系統の特殊能力なのだが、プラス効果として“月文字魔法”を特徴能力に追加するものだ。
ここで出てきた“月文字魔法”こそがクリアする真の方法。
効果は月文字を書くことでそれに対応した能力が発現するというもので、それは見た目の変化にも使えるのである。
そして、ソウヤとルリが旅立つ時が来た。
「行こう――」
ルリ、と続けようとしたソウヤの口が閉じる。
どうしたのだろうかと首をかしげるルリを見て、ソウヤはすぐに口を開いた。
「――行くぞ、ルリ」
それはある種の決別。
だが、その意味を知らないルリはいきなり変化したソウヤの口調に驚く。
それでも何か意味があるのだろうと察したルリは、それを聞くことは無く頷いた。
「はい、ソウヤさん」
風が吹く。
それはある人にとっては心地よく、またある人にとっては悲しみに染まっているように思うだろう。
だが、今のルリには――
――その風が、穏やかであると思えた。
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