第1章
3節―平穏を裂く獣―
盗み、殺す
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な。
αテストでは最後近くになって出てきた“中ボス”で、挑んだ多くのプレイヤーがその強さに苦しんでいたはずである。
虚しくもαテスターでなかったソウヤは、しかしその強さを知っていた。
鉄の剣を構え、今出せる全力で攻撃を仕掛ける。
「ッ…!」
無言の気合いから放たれる一閃。
現時点で最高の一撃は、サイトルの持つ鎌によって簡単に防がれてしまう。
―流石に、きついか…!?
“巨剣使い”を持たないソウヤのステータスは、プレイヤーであった人と比べてもかなり高いはずだが、それでも一人で中ボスを倒すには辛いものがあった。
「――――!」
内心で愚痴るソウヤに、サイトルは離れる時間を許さず鎌で受け止めたまま柄の部分でソウヤを殴りつける。
強い痛みと圧迫感と共に吹き飛ばされるソウヤは、何とかそのまま受け身をとり再び突撃。
死神の大きな身体に対して、潜り込むように接近したソウヤは鋭い下段攻撃を行った。
だが、それも鎌の柄で防がれてしまう。
―なら…!
再び受け止められた鉄の剣をソウヤはそのまま空中で手を放す。
そして、鎌の長い柄を両手で掴み全身の体重を乗せると逆上がりのように体を反転させ――
「…らぁっ!」
――死神の顎―があるであろう―部分を蹴り抜いた。
確かな感覚を得られると共に、死神が衝撃で手を放した鎌を奪い取る。
そのまま未だ体制が整っていない死神に向けて、ソウヤは使い慣れない鎌で纏うローブを引き千切った。
引き千切ったローブから露わになるのは、死神の“核”。
それを見逃さず、ソウヤはアイテムストレージからグラギフトを取り出すと核に向けて突きを放つ。
「――――!!!!」
背中が凍えそうなほど甲高い絶叫を放ったサイトルは、そのままローブを残して消滅した。
「な、え…?」
最強だと思っていた手下の死に、動揺を隠せない賊の男。
それに向かってソウヤは鎌を持った右手を振るい――
「死ね」
――その首を落とした。
未だ騒がしく賊の襲来は終わっていない。
その事実をソウヤは確認すると、片手に鎌、片手に剣を携える。
「はぁ…」
1つため息をつき、ソウヤは走り出した。
一方、ソク老人の安否を確認するために疾走していたルリ。
だが着いた家にいたのは――
「おぉ、やっと帰ってきたか。ヒヤヒヤしたぜ、アイツ等には美人がいるって伝えてなかったからなぁ」
――圧倒的な巨体を持つ炎の妖精の男と、その周りを囲う悪辣な5人のシルフだった。
下種な笑みを浮かべながら、それぞれの得物を持っている賊を尻目にルリはソク老人を探す。
「|義父
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