第1章
2節―狂炎と静炎の円舞―
『亡霊解放』
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
その現実を覆したソウヤに、ライトは苦笑するほかない。
だからこそ、“生きている”と確証することが出来るのだ。
―君は生きている。きっと、それは間違いない。きっと、君は――
ライトは笑う。
――主人公なんだから。だから、僕の親友が死ぬはずがないんだ。
「んぅ…」
暗い意識の中からソウヤを掬い上げたのは、額から伝う冷たい感触だった。
意識が未だはっきりしていないソウヤは小さく唸ると、その額の冷たさから逃れようと体を横へ向ける。
が、すぐさま体制を強制的に戻され額に冷たい感触が戻ってきた。
―…ん?
そこでやっと意識が覚醒し始めたソウヤは、不意に今までのことを思い出す。
―あぁ…そっか。俺、シュリードを倒して…意識を失ったのか。
倒したあと、意識が遠のきそうになるのを必死にこらえながら巨剣を片手剣に戻し、回復を行ったのが最後の記憶だ。
つまり、その直後に気を失ったのだろう。
―てことは、ここはどこだ…?
状況を把握しきれていないソウヤは、周囲を確認しようとようやく瞳を開ける。
そうして広がった景色は――
「んぁ…?」
――木でできた天井だった。
そこでやっと、ソウヤは自身がベッドで横になっていると把握する。
「ここ…は」
「あ、目が覚めましたか?」
呆然とソウヤが声を出すと、横から誰かの声がする。
綺麗なメッゾソプラノの声で、頭の中にすんなり通る声だ。
声を出したのが誰かを確認するために、ソウヤは体を起こすと額から水にぬれた雑巾が落ちる。
「あ、駄目ですよ。急に起きたら」
その声にソウヤは顔を向けて…見惚れた。
そこにいたのは、地の妖精であるグルフの女性。
見た目は16歳ほどで、灰色なのに不思議と輝いて見える髪と瞳をしている。
髪や瞳と同じ色をした犬のような耳に尻尾が生えて、ゆっくりと尻尾と左右に動かしているのを目が捉えた。
「どうか、されましたか?」
「い、いえ。えと、その…ありがとうございます」
現状を把握できていないソウヤだが、看病をしていてくれたのは間違いないのでとりあえず頭を下げる。
それを見た女性は優しげに微笑んだ。
「気にしないでください。離れた森が燃えているのを見て、確認に来たところ見つけただけですから」
「そういうわけにも…」
椅子に座っていた女性は立ち上がると、ソウヤに近づき手を差し伸べた。
「…?」
その意図がつかめず、ソウヤは困惑すると女性は変わらぬ笑みで――
「――ルリと言います。体の調子が戻るまでここで休んでいってくださいね」
そう言って自己紹介する。
“体の調子が戻
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ