暁 〜小説投稿サイト〜
グランドソード〜巨剣使いの青年〜
第1章
2節―狂炎と静炎の円舞―
『軍勢の期』
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ドの面々はともかく、エレンもその顔を驚愕へ変えていたのだから、どれだけ無謀なのかわかりやすいものである。
 あわててエレンが声を上げた。

「ソウヤ、幾らお前でもそれは無謀だッ!」

 エレンのその言葉を聞いて、ソウヤは静かに頬を小さくゆるめる。
 心配してくれた、そんな事実がなにより嬉しかったのだ。
 だからこそ――

「何か勘違いをしてるだろ、エレン」
「…?」

 ――だからこそ、この場所を護りたいとソウヤは心から思う。

「――――」

 周りの人の息をのむ音が聞こえる。
 それほど、この場所は静かになった。

 それも、天井をぶち抜いて6mはある巨大な剣を肩に担いだソウヤを見たのだから、仕方のないことなのだろう。

「エレンと戦った力が、俺の本気じゃないさ」
「ソウ…ヤ、お前は……」

 エレンは自身の手を強く握りしめた。
 圧倒的な力の渦に飲み込まれただけでない、不敵に笑うソウヤの顔が――

「――大丈夫だよ、エレン。俺は必ずここを救って見せる」

 そうやって笑うソウヤは、あまりにもエレンには儚く見えた。
 だが、それを接点があまりない周りの人々はわからない。

「これで安心できますか、王?」
「――――」

 ソウヤの視線を受け止めた王は、目を閉じ大きくため息をつく。

「…お主の助力、感謝するぞ」
「えぇ、任せてください」

 そう言って軽く頭を下げる王の手は強く、強く握りしめられていたのだった。

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