第1章
2節―狂炎と静炎の円舞―
『軍勢の期』
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多くはなかった。
せいぜい来た時も5000程度であり、それでも現れた付近は多大な被害を被ったと報告があったのである。
―被害が最小限であるよう…祈り行動するしかあるまい。
月明かりの中、王の決意は出来ていた。
その日の昼、王を中心とした国家側と冒険者を中心としたギルド側の人間が、同じ席に集まっていた。
顔ぶれの中にはソウヤの姿もある。
滅多にない上流の人々が一斉に集まる中、その面々の顔は暗く空気は重たかった。
「『軍勢の期』、予想はしていたが1万とはな…」
一人の大貴族が小さくそう呟く。
戦闘を主な稼ぎをするギルドの面々も、あまりにリスクの高い状況に戦線に出るか真剣な表情で悩んでいる。
そんな重たい空気の中、ソウヤは今更ながら『軍勢の期』のことを思い出していた。
―『軍勢の期』…か。
“FTW”がβテストを行っていた頃、メインストーリーとして設定されていたのがゲーム内で1ヶ月毎に出現する魔物の大進軍。
ゲーム内で『軍勢の期』と言われる、各大陸にランダムで大進軍を行う魔物たちを撃退することが、キャラクターのするべきことの大きなひとつだった。
―そういえば、俺が”瞬死の森”に籠って3ヶ月位だったらしいから、ちょうど3回目か…。
本来ならばプレイヤー側がレイドを複数組んで行うイベントだが、それはゲームの頃の話である。
今はプレイヤーも生きており、死ねばそれはそのまま文字通り“死”に直結するのだ。
また、『軍勢の期』は毎回どの大陸で出るかはランダムなため、ゲーム時代ならば見つけた後ネットを使いすぐに集められたが、それも現実となった今では出来なくなっている。
そして、プレイヤーがそうやって役に立たなければ、何とかするしかないのは国のほうである。
元々NPCはプレイヤーよりか弱いのが普通だ。
その状態で『軍勢の期』に挑めば確実に止められても全滅は不可避である。
―それに、今回の『軍勢の期』は…。
ゲーム内3年間、合計36回『軍勢の期』は行われ、そして今回はその3回目。
区切りのよい数字であり、βテストの最終日もこの3回目を体験していた。
だからこそソウヤにはわかることがある。
「王、俺に提案があります」
ソウヤは声と共に手を上げると、難しい顔をして悩んでいた貴族やギルドの面々の視線が一気に上がった。
その視線が何を求めているのか、ソウヤははっきりわかっている。
王が小さく促すように頷くと、ソウヤは周りに向けて自身の今後の行動を口にした。
「俺が単騎で『軍勢の期』に向かい、敵の足止め、可能なら殲滅を行います」
「――ッ!?」
それは、周りが思っていたより上回った提案。
貴族やギル
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