第1章
2節―狂炎と静炎の円舞―
人里へ
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を聞いても思い出せないかい?蒼也」
男性はそう言うと、頭にかぶったフードを剥ぎ取り満面の笑みを浮かべて見せる。
その顔を見てソウヤはため息をついた。
「…お前だったのか、赤崎頼妬」
「あぁ、久しぶりだね。斑斗蒼也」
蒼也が中学生の頃、同級生でかなりチヤホヤされていた存在がいた。
それが、赤崎頼妬。
頼妬は蒼也よりもどんな場面でも優れていた。
頭だけだった蒼也と違い、頭脳明晰、運動神経抜群に努力家であったのである。
更にイケメンで性格もかなり良好と来たものだから蒼也と比べ物にならず、だが頭脳だけは並んでいたため良く陰口の種だったことを蒼也は覚えている。
そんなことがあってか、蒼也は頼妬のことを心のどこかで敵視していた。
“なぜ、ここまで違うのか”と。
そんな奴が、ソウヤの目の前にいた。
「頼妬…いや、ここではライトか。…なんでここにいる?」
「やだなぁ蒼…いや、ソウヤ。僕がゲーマーなのは皆、知ってたじゃないか。有名になってたゲームを買うのは当然だろう?」
嘘だ、とソウヤはすぐに思った。
―確かに頼妬はゲーマーだった。だけど、確実にゲームよりも現実を優先する奴でもあったのは、何よりも俺が知っている。
「懐かしの再会、というのもここらで一旦止めにしたらどうじゃ?ライトとソウヤよ」
そんなギスギスしたライトとソウヤの邂逅は、王のその一言で終了となる。
ライトが頭を下げ、元の居場所に戻ると王は仕切り直すように一つ咳をした。
「さて、お主が異世界人であることはライトとの話を見て大体察した。それを踏まえて、確認しようかの」
王はその巨躯の手で顎の長い白鬚を擦ると、目を細める。
「おぬしは、“瞬死の森”を踏破したのじゃな?」
「はい」
間をおかずに、ソウヤはその問いに即答する。
それを聞いた王は顔を安堵したかのように緩めた。
「なら良い。あそこは最近魔力を貯め込み過ぎての、魔物が溢れださないか不安だったのじゃよ」
元の世界で、このゲームの公式サイトの説明欄にそこら辺の説明もしてあったのをソウヤは思い出す。
―確か、魔物は貯め込み過ぎた空間にある魔力が原因で産み落とされ、魔力が多く存在するのは森や山などの地表に特徴のある場所。
そして、あまりに増えすぎた魔物はその居場所を離れ平原などで住まうようになり、最終的に街や城を襲う。
だが一度その森や山地に住まう主を倒すことでその場所の魔力がある程度減少し、しばらくの間安定するようになるのだ。
ステータス的に考えて、どう考えても“瞬死の森”の魔物はちょっとやそっとの強さでは勝てないことを重々ソウヤは把握していた。
だからこそ、“
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