第1章
2節―狂炎と静炎の円舞―
人里へ
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ていく。
慌ててそれに着いてくと、中には多くの人がいるのをソウヤは感じた。
―貴族、騎士…それにあれは……。
部屋の最奥の中心で座る人影。
頭に黄金と宝石で彩られた王冠を被り、圧倒的な巨躯を赤いマントで覆い隠している男性がそこに鎮座していた。
―あの人、強い…。
幾度となく強者と戦い続けてきたソウヤは、その男性が他を圧倒する強さを持つことを一目で感じる。
騎士団長であるエレンと同等かそれ以上の強さを誇っているであろうと、ソウヤの本能が叫んでいた。
「エレース近衛騎士団団長エレン、只今帰還してございます、王」
「――――」
エレンが礼儀正しく王に挨拶を交わすが、当の王はそれに無言でうなずくとすぐさま視線をソウヤに向ける。
その瞬間感じる圧倒的な圧力に、ソウヤは身を硬直させた。
―この人…人の警戒心を煽るのが上手いッ…。
その向けられる圧力はあまり大したことではないが、相手が最も気を抜いた瞬間を狙って圧力をかけたのである。
実力はこちらが上でも、経験があちらが圧倒的に上なことを今更ながらソウヤは思い知った。
「エレンよ、そ奴が“瞬死の森”を終わらせた者と報告したのは、あながち間違いではないようじゃな」
王はそういうと、ソウヤに向ける圧力を弱める。
それを聞いたエレンは王に頭を下げ、「はっ、ありがたく思います」と言った。
―…なるほど。
話を聞いた限りの情報で、現在どんな状況か大体ソウヤは納得する。
―“瞬死の森”は今まで一度も攻略できなかったダンジョンだったんだ。で、あの場所に俺が転移したことでそこを攻略したと思われたから、真偽を確かめようと…。
ソウヤはステータスの称号に“瞬死の森の主を倒したもの”とあったので、確かにソウヤは“瞬死の森”を踏破したことになる。
王はもう一度ソウヤを見ると、目を細め次々に問う。
「おぬしは…“異世界人”かの?」
「…はい、そうです」
「名はなんという?」
「ソウヤと」
王の質問に簡潔にこたえていくソウヤ。
しかし、名前を聞いた途端動き出した人影があった。
「王、発言を」
「ライトか。うむ、よかろう」
そう言って前に出るのは、魔法使い風の恰好をした男性。
身長はソウヤと同じぐらいで、その顔はフードで大半が隠れていながらも優しげで整った顔なのがわかる。
「えっと、君の名はソウヤ…それであっているね?」
「はい、そうです」
「じゃあ君の本名は――」
男性は唇を少し嬉しげに歪めると、懐から紙とペンを取り出し――
「――ムラトソウヤ…だよね?」
――“斑斗蒼也”と書いた紙をソウヤに見せつけた。
「……は?」
「この声
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