第1章
2節―狂炎と静炎の円舞―
人里へ
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。
そして、すぐにその原因をソウヤは掴んだ。
―“色”が違うのか、この人だけ。
周りにいるシルフの人々は全員黄緑色の髪と瞳をしているが、女騎士だけ“青い”。
虐げられる理由がわかったソウヤは、げんなりとする。
―えぇ…それだけで差別すんのかぁ。
ソウヤはため息をつくと、自身の身体を持ち上げてくれた女騎士に向けて笑顔を見せた。
「ありがとうございます、騎士様」
「あ、あぁ。気にするな」
少し困惑した表情を見せた女騎士だったが、すぐに顔を少し和らげ言葉を返してくれる。
それを見たソウヤは、内心で安堵した。
―やっぱり、いい人じゃないか。
「すみません。ここがどことか、説明してもらって良いですか?」
「あぁ、構わない。が、それは道中でだ」
そういうと、女騎士は背中にあるマントを翻し騎士たちに向けてうなずく。
すると騎士たちは完璧な動きでソウヤの四方を囲んだ。
「まず、我らの王に会ってもらいたいが、大丈夫だろうか」
「…はい。大丈夫です」
女騎士は「そうか」と頷くと、人々の道を歩き出す。
まるで、周りから差別されるのが当然かのように。
それが耐えきれなくて、思わずソウヤは叫ぶ。
「あの!」
「ん?なんだ」
「名前、教えてください!」
その言葉を聞いた周りの人々は絶句し、女騎士も一瞬驚愕したような表情を見せ――
「私はエレン。エレンという」
――とても見惚れる笑顔をソウヤに見せた。
現在、ソウヤは女騎士…もといエレンに連れられながら説明を受けていた。
「…つまり、ここはエレースの首都ってことですか?」
「あぁ、ソウヤ殿は大体察していたようだったがな」
この世界のもとになったと思われる“FTW”の世界では、主に種族と同じだけ…つまり6つの大陸があり、そこに各種族の首都が存在していた。
エレースとは6つの大陸の中での、シルフの大陸のことである。
「えと、その…聞きにくいんですけど、エレンさんも――」
「――シルフだ」
言葉を遮るように、エレンはソウヤの言いかけた言葉を続けた。
思わず息が詰まってしまうソウヤ。
「シルフなのに、青い髪と目…おかしな話だろう?」
「いえ、俺は…気になりませんよ」
それはソウヤの本心からの言葉だった。
エレンはそれを聞くと、しばらく黙り…ソウヤに問う。
「ソウヤ殿は、“異世界人”か?」
“異世界人”と、そう聞いた瞬間ソウヤは凄まじい違和感に囚われた。
ソウヤ側からしてみたら、この世界こそ“異なる”ものであったからである。
―でも、そうか…。異世界人の人からしてみれば俺らのほうが
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