第1章
1節―プロローグ―
初ボス
[1/6]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
それは、突然のことだった。
「――は?」
全長7m越えの巨大なサルに出会ったのは。
その巨大ザルもいきなり現れたこちらに驚いているようで、すぐに行動に移さない。
同様に、あまりの驚きにソウヤもすぐに行動に移せなかった。
―なんだ、こいつ。かなりの時間この森で生活してるけど、今まで見たことのない魔物だ。
こいつは危険かもしれない、とソウヤは判断するとすぐさま頭を切り替え後ろに大きく下がる。
着地すると“片手剣ほどにまで縮んでいる”グラギフトを手作りの鞘から抜き放ち、前に構えた。
「“伸物空間”」
ソウヤは小さく呟くと、縮んでいたグラギフトが元の巨剣の大きさに戻る。
これは“空間魔法”にある魔法の1つである。
“空間魔法”とは、ソウヤが初期から持っていた“希少能力”の1つだ。
その名の通り空間を捻じ曲げる魔法を使えるのだが、必要熟練度が高く現在未だに下級のままで対象のものを6mほどに伸ばすことしか出来ない。
しかも静止した状態ではないと操作できず、大きくするにつれ必要な筋力も上がってくるのであまり使いどころのないスキルであった。
だが、そんな“空間魔法”も“巨剣使い”を持っていれば違ってくる。
巨剣はその性質上、持ち運ぶのが至難の業といってもいい。
なにせ6mほどの刀身を持つ剣なので、少しでも下に傾けてしまったら地面に当たって移動しにくくなるし、森の中なので上に傾けても移動しづらいのだ。
だが、“空間魔法”さえあれば必要時以外巨剣から片手剣ほどに縮めておけるし、戦闘時は巨剣へと戻すことが出来る。
実に今のソウヤとミスマッチしていると言えた。
「ゥキャアア…!」
ソウヤが戦闘状態になったのを察知したのか、巨大ザルもソウヤに体を向ける。
圧倒的なまでの圧力がソウヤに向けて放たれた。
―なんだ、こいつ…!殺気がほかの魔物と比べ物にならない!?
幾度も戦闘をこなしてきたソウヤは、今では殺気の良し悪しさえもわかるようになっている。
その殺気を感じ、再び思わざるを得ない。
―こいつ、危険だ。
殺気を受け、ソウヤは警戒レベルを過去最高にまで高める。
一秒も油断してはならないと理解したのだ。
巨大ザルはイラつく笑みを浮かべると――
「…ッ!?」
――瞬きの間にソウヤの目の前にまで迫っていた。
その勢いで振るわれる右手にソウヤは対応しきれず、せめてもの抗いに巨剣を盾にする。
今までに感じたことのない“重たい攻撃”がソウヤの身体に圧し掛かった。
結果、その圧力に負けソウヤは宙に体を吹き飛ばされる。
―
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ