第四百三十八話
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第四百三十八話 モツァレラチーズ
博士はこの夜もワインを飲んでいた、今回飲んでいるのはイタリアの赤ワインだがそのあては何かというと。
「モツァレラチーズですか」
「うむ」
そのチーズを食べつつ頷いてだ、博士は小田切君に答えた。
「この通りな」
「スライスもされて」
「このチーズも美味いのう」
「そうですね、歯ざわりが」
「元々はイタリアのチーズじゃが」
水牛のミルクから作るチーズだ。
「これが実によい」
「博士の好みの一つで」
「このワインにはな」
小田切君が知らない柄のワインだった。
「イタリアワインじゃが」
「モツァレラですか」
「しかもイタリアのな」
そのモツァレラチーズの産地のというのだ。
「そのチーズじゃ」
「凝ってますね」
「イタリア同士じゃからな」
「そこまでされるのもですね」
「こだわりじゃ」
まさにそれだというのだ。
「わしのな」
「成程、僕だとです」
小田切君は今日は泊まるつもりなのでその支度を進めつつワインとチーズを楽しみ続ける博士に述べた。
「モツァレラでも特にこだわらずです」
「ワインもか」
「赤ワインならです」
モツァレラをあてにする時はというのだ。
「飲みます」
「そうか」
「はい、博士程こだわりは強くないですね」
「まあそこは人それぞれじゃな」
「だからいいですか」
「わしは何も言わん」
特にこれといって、というのだ。
「小田切君の好きにするのじゃ」
「はい、それじゃあ」
「それで今日は泊まるのじゃな」
「今からお風呂をいただいて」
「その後は飲むか」
「ビール飲みます」
ワインではなくというのだ。
「枝豆を肴に」
「そうか、ワインではないか」
博士はその話を聞いてぽつりと言った、だがそれで終わってまた飲んで食べるのだった。
第四百三十八話 完
2017・4・16
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