第1章
1節―プロローグ―
異世界に呼ばれた日
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愕をなんとか押し込め、次に肉体強化を確認する。
―肉体強化 下級(0/500) 特徴能力―
― 発動時全ステータス×5 5秒毎にMPが1減る―
これもぶっ壊れ性能なのをもう驚かないソウヤは確認する。
そして最後の空間魔法も閲覧しようとして――
「グラァアアアアアッ!」
――その鳴き声がもう近距離から聞こえることに気が付く。
―くそ、悠長なことをしてる暇はない!
ソウヤはそう脳内でそう決めると、メインスキルを“戦士”から“巨剣使い”に変更する。
その瞬間、ソウヤの視界が変わった。
「…えっ?」
全てのものがスローペースとなり、走り続け無くなりかけた体力も完全と言えるまで回復。
地面を強く踏み込めばそれだけスピードが上がり、力が凄まじく上がっている。
そして、なにより思考がクリアになっていた。
―これなら、いけるかもしれない。
圧倒的な力に満たされることを実感したソウヤは、目の前に迫っている巨木に対して大きく跳躍する。
軽くオリンピック選手を越した跳躍力で巨木に表面を割りながら着地するソウヤ。
―“肉体強化”、発動。
ソウヤの視界が、もう一段階変わる。
更に周りの速度が遅くなり、もう完全に豚とキメラの魔物は止まっているようなものだ。
「…行くぞ」
巨木に大きな穴を開け、ソウヤは魔物たちに対して飛び出す。
初期の剣を持とうとしたが剣が持たないとソウヤは判断して、素手で殴ることにする。
「すぅっ…」
ソウヤは短く、息を吸うとキメラの獣に対して左手を前に出し右手を腰に置く。
キメラを完全にとらえると、未だソウヤの変化に狼狽えているキメラの頭めがけて――
「“正拳突き”ッ!!」
――スキル効果で、半自動的に右手を振るう。
肉と骨がつぶれる音がして、キメラは即死した。
血に濡れた拳を見て、ソウヤは吐き気をこらえながら豚の魔物を睨みつける。
「ブ、ブヒィ…」
「ブヒ、ブヒ」
豚の魔物は狼狽えたように後ろに下がった。
その内心は、あまりに歪なことだろう。
必死に逃げ回っていた弱者が、いきなり圧倒的なまでの強者となっていたのだから。
「「ブ、ブヒィイイイ!」」
豚の魔物は生物としての本能が勝ったのか、ソウヤに後姿をさらし逃げ出していった。
「――ッ…!」
ソウヤは豚の魔物がいなくなったのを確認して、そのまま地面に膝をつき手をつく。
足が、手が初めての命の取り合いを前に笑っていた。
―気持ち、悪い…。
ソウヤは肉やら骨やら内臓やらがこびりついている右手を見て、吐き気を隠せない
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