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ドリトル先生と悩める画家
第六幕その三

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「素晴らしいものです」
「そうですか」
「はい、僕はそう思います」
「私達にしてみれば」
「普通ですが」
 住職さんも神主さんもこう言います。
「いや、しかし」
「それでもですね」
「他の国の方からしてみれば」
「そうなのですね」
「アジアでは中国でもインドでも複数の宗教が存在していて」
 そしてというのです。
「東南アジアでもそうですね」
「確かにそうですね」
「他の国でもそうですね」
「複数の宗教が共存していますね」
「多くの国で」
「同じ宗教同士でもです」
 先生はこうも言いました。
「欧州では、むしろ同じ宗教同士だと尚更」
「共存が難しい」
「そうなのですね」
「今も難しいところが残っていますし」
 欧州ではというのです。
「どうにも」
「数多くの対立や戦争があり」
「そしてですね」
「確かに今も残っているそうですね」
「私達もそう聞いていますが」
「正教とカトリックの対立にです」
 これは東西教会の対立です、八世紀から決定的になって西欧と東欧を分けるものの一つでもあります。
「カトリックとプロテスタントの対立もあります」
「それでかなり酷いことにもなりましたね」
「多くの戦争が起こったりして」
「欧州はそうした戦争も多いですね」
「実に」
「欧州はキリスト教が心です」
 まさにそう言っていいものだというのです。
「神は我々に多くの恩恵を下さってきていますが」
「それでもですね」
「人はですね」
「下らないこだわりや過ちによりです」
 悔恨も感じて言う先生でした。
「多くの血を流してもきました」
「残念なことに」
「そうだったというのですね」
「多くの国で国を二つに割る様な戦争が起きたり」 
 それにというのです。
「異端審問が行われたり」
「日本の踏み絵とは全く違う」
「極めて過酷で残虐な」
「そう聞いていますが」
「実際にそうだったのですね」
「魔女と疑われれば終わりでした」
 欧州の異端審問、それはというのです。
「何しろ家に猫が寄っていたり虫の一匹でもいれば」
「魔女と疑われた人の使い魔とされ」
「異端審問にかけられたのですね」
 とても酷い拷問のある、です。
「我が国の様にまず踏み絵をさせて信仰を捨てれば助けられたのと違う」
「もう疑われれば」
「我が国でもそうでした」
 先生の祖国イギリスでもです。
「やはりです」
「疑われればですか」
「それで終わりですか」
「後は酷い拷問と火炙りですね」
「それが待っていたのですね」
「そうでした、そうした状況だったので」
 イギリスも含めた欧州はです。
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