第六幕その二
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「行かせてもらいたいですね」
「そう思わますね」
「では機会があればどうぞ」
「行かれて下さい」
「夏になれば」
「そうさせてもらいます、いや日本の宗教は」
しみじみと思う先生でした。
「実に独特のものがありますね」
「そう言われますか」
「先生から見て」
「そうなのですね」
「イギリスの方から見て」
「はい、僕は宗教学者でもありますが」
この立場からお話するのでした。
「日本の宗教は日本の独自の発展と形成を為していますね、特に」
「特に?」
「特にといいますと」
「はい、こうして異なる宗教がです」
仏教と神道、この宗教がというのです。
「共存していることがです」
「凄いとですね」
「そう言われますか」
「こうしたことは欧州では中々ないですから」
だからだというのです。
「仏教の宗派同士も別にいがみ合いませんね」
「まあ基本はそうですね」
住職さんが先生に答えました。
「実際のところ」
「そうですね」
「別に宗教戦争なぞ」
「欧州の様なことは」
「なかったです、僧兵や一向一揆はありました」
「戦国時代ですね」
「はい、そうでした」
かつてはというのです。
「平安時代から戦国時代までは」
「僧兵が存在していましたね」
「そして戦国時代には一向一揆がありました」
「一向宗、浄土真宗の」
「それがあったので」
だからだというのです。
「争いがなかった訳ではないですが」
「欧州の様な極端なものはですね」
「宗派同士ではあそこまではなかったです」
僧兵同士の抗争は確かにあってです。
「このことは事実です」
「そして神道とも」
「神仏といいます」
今度は神主さんがお話しました。
「神も仏もです」
「日本ではですね」
「存在しています」
「そうですね」
「神も仏も敬うべしでし」
「数多くの神々と仏達を」
「どちらも多いですが」
その神仏の数もです。
「かなりですね」
「多いですね」
「ですがその多くの神仏をです」
「共に信仰していますね」
「そうです」
まさにというのです。
「そうしています」
「その包容力といいますか」
「多くの神仏を共に信仰していることがですね」
「日本の宗教の独自のものであり」
先生も穏やかで真面目なお顔でお話するのでした。
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