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歌集「春雪花」
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 思ひわび

  冷えし風吹き

    小夜更けて

 なお冷々し

   心なりける



 叶わぬ恋を悲嘆して夜空を眺めていると、風が冷えてきて夜が更けてきたのだと感じた。

 彼は…私のことなど考えることもなく、安らぎの中に眠っているのだろう…。

 この先…私なぞ忘れて生きて行くに違いない…。

 そう考えると…淋しさに心は痛い程冷えてゆき…悲しくなってしまった…。



 想ふとて

  現も夢も

   なかりせば

 来たりき夜よ

    哀れとぞ思え



 どれだけ想い恋しくとも…彼に会うことは出来ない…。

 現実どころか…夢ですら会うことはならず、虚しく日々を過ごすだけ…。


 あぁ…夜よ、そんな私を少しでも哀れみ…安らぎを与えてほしい…。




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