第83話 待つ
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..ってか何でドヤ顔?」
「アフロ将校と呼んで......」
「ところでフレンダは?」
「......」
アフロ将校は静かにドリンクバーを指差す、そこには氷をコップに詰めたフレンダが舌を氷に着けていた。
「砂鉄が熱くなって火傷したみたい......」
「あー、超なるほど」
その前にドリンクサーバーに悲しげに置かれたもう一つのコップが気になる。
多分あれだ、本当は冷えた水を出そうとしたけど停電だから出なくて慌て氷にシフトしたんだ。
「超良かったですね。氷があって」
「うるひゃい」
「さてと」
砂の山から私物を取り出すと簡単に身支度を整えて麦野達は普段とは違う静寂が支配する街並みを窓越しに観察した。
「超どうします?」
「んー......フウエイはどうしたい?」
しかしフウエイは何だか首を傾けてピョンピョンと跳ねており、不快そうに眉を細めた。
「ん!」
「な、何よ?!」
フウエイはヒリヒリと舌を火傷したフレンダの傍に来ると両手で自分の耳を指差した。
「引っ張って!」
「はぁ?な、なんでよ?」
「いーからー」
帽子を整えたフレンダは示されたフウエイの耳を掴むと手前に引く。
カチッ!
ん?
カチ?
次の瞬間には耳の穴と鼻、眼、口から土砂のように砂鉄が溢れて始めてギョッとしたフレンダが手を離して飛び退いた。
「だばーたばばー」
「うげっ!?」
一通り出し終わると首を一回転させてニコニコとしてテーブルに腰かけた。
「すっきりした!ありがとう」
「ど、どういう身体してるの?」
「疑問に思ったらダメだよ......さそりのだもん」
「まあ、旦那なら不可能はないわね」
「何ですか?その超全幅の信頼は?」
「んで、一応サソリの所に行く?」
「そうねぇ。その方が良いかしら」
「パパに逢いたいー」
「超停電ですから自動ドアも超動かないみたいですね」
「適当にぶっ壊せば良いんじゃない?」
麦野が緑の光球を生み出すと喫茶店の窓を粉砕しようとエネルギーを溜め始めていくが砂鉄が反応して5人を囲うように砂嵐となっていく。
「!?」
おかしい動きをする砂鉄に麦野が能力の解放を一時的に止めた。
『悪い少し待て』
砂嵐の中からサソリの声が響いてきて、朧げながら後ろ姿が砂に映り込んだ。
丁度人型に陰影があり声が無ければサソリの旦那と認識するのが難しい程だ。
砂嵐の影はゆっくりと首を傾げているフウエイの頭に触れると優しく撫でるように流れていく。
『フウエイ......お前は良い子だから待てるな?」
「待つ?」
『そうだ』
「......わかたー。待ったら遊んでくれる?」
『ああ、約束する』
「うん!」
サソリの砂影は周囲の砂に同調するように陰影が消えて行き、
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