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Exhaustive justice
二話
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に舞い上がり、空中で一回転した後、刃側が下に直下して新しい傷口を作った。
もう一度大きな悲鳴が上がるが、すぐに男は白目を向いて失神し、チェーンソーは傷口が大きく固定されていないため左右に暴れた後、地面に落ちて暫くエンジン音を上げて振動を残した後に駆動を止める。

全員が黙りこみ、暫くの静寂の後、帝が短く言葉を吐く。

「貴様らが犯罪組織に主犯格だな」
残された男は何かを反論しようと口を動かすが身体から沸き立つ嘔吐感から言葉を喋ることが出来ない。
男は目をゆっくりと閉じた。

「…どうやらわかっているらしいな、では処罰を開始する」
男は目を再び強く瞑る。
「いっそ殺してくれ…」

帝は帽子を深く被り、見下すような視線で言った。
「…殺すわけは無い、それでは意味はないからな」

男が目を開けると完全にもう手遅れであった。
「あああああああああァァァぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
悲鳴をあげる。
懺悔しろ、と帝は語る。


最後の男の処罰が完了した後、帝は携帯電話を手に電話をかける。

『はい』
「月雲だ、任務を完了したが、聞きたいことがある。生徒のリストブックを用意しろ」
『どうしました?珍しいですね、何か気になることでも?』
「…先程拉致された女生徒の情報はどこまで載っている」
『一年B組の綾野美奈、校則違反履歴はないですね。中学時代もおおよそ問題なし…一馬宗二という彼氏がいるらしいですね』
「…そうか、では少し野暮用を済ませた後に帰投する。救急隊の要請を頼んだ」
『仰せのままに』

電話を終えた帝が女生徒の方を振り向く。
最初いた時とは違う位置にいる、逃げようとしたのだろう。
女生徒は帝の目を見ると「ひっ」と嗚咽と悲鳴が混じった声を出してその場にへたり込む。
帝がゆっくりと近づくその度に顔色は優れないものとなって行き、挙句の果てに失禁してしまう。
帝は女生徒、綾野美奈の目の前でしゃがみ、ゆっくりと問いをかける

『君も、やったのか?』
綾野はそれが聞き取れなかったようで、震えながら目を強く瞑った。
帝は立ち上がり、綾野の頭に手を伸ばすと。

「君が綾野か!?」
偽善者が扉を破り叫び声をあげた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
帝は一人、『用意された』教室の中で座っている。
綾野は学校を停学となった。
情報は入った、間違いなく加担していたのだ。

だが、帝は未だ綾野を裁いてはいなかった。
一馬宗二と言う男が泣きついてきたのだ。
「どうか彼女を裁かないでくれ」と、
彼女が男を利用しようとしたことを伝えても尚、ふと考える素振りも見せず、目はまっすぐと「構いません」と。

納得した訳でも慈悲に心打たれた理由でもない。だが、何故かはわからない。


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