相反する二人
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
るが、わずかながらに王国兵が押しているように見える。
「ヒビキ、そっちはどう・・・」
このまま行けばまもなくこの場の防衛も終わる。そう思った青年は、もう一人の強者にして、最も警戒するべき人物である敵と戦っている仲間の方を見る。
「な・・・」
だが、彼が振り向いた時には、その仲間は地面にひれ伏し、白目を向いてしまっていた。
ビュッ
空気を切り裂く剣の音。それを振るう女性は長く、黒い髪を揺らしながら、全身黒ずくめの男を手数で圧倒する。
(相性は悪い・・・か?)
防戦一方・・・いや、ただ交わすことしかできずに攻め込まれている青年は、全く反撃する余地のない今の状況に、苛立ちを押さえられない。
(いや、それ以上に向こうが強すぎるか。さすがはフィオーレでも有数の魔導士だ)
一向に攻め手を得ることができないまま、ただ回避するしかないユウキは、なんとかカグラの隙を突きたいが、そんなものを与えてくれるほど、彼女は甘くない。
「ネ拘束チューブ!!」
「ハッ!!」
そこからわずかに離れたところでは、猫耳の女性とショートヘアの女性の二人が戦っている。自身の魔法で敵の動きを封じようとするミリアーナと、それを自らの魔法で外させるエミ。両者ともに攻撃を与えることができず、激しいマウントの取り合いが続いている。
「ムムム・・・全然攻撃が当たらない・・・」
バランスを崩す魔法を扱うエミの前に、数で応戦しようとするミリアーナだったが、それにも対応してくる敵に攻めることができない。
「ほいっ」
ガクッ
「しまっ・・・」
ほんのわずかな隙だった。思ったような攻撃ができずに苛立ち、一度手を止めてしまったそのタイミングで、突然片膝が折れ、その場に膝をついてしまう。
「トゥ!!」
「ミャッ!!」
すぐさま立ち上がろうとしたミリアーナだったが、それよりも早く女性の蹴りが肩を撃ち抜く。その反動で地面に倒れたミリアーナに、エミは馬乗りになっていた。
「これで動きを封じるよん」
「か・・・体が・・・」
額を人差し指と中指で軽く突かれたミリアーナは、体の自由が奪われ一切の動きが封じられる。
「私の魔法はね、ホルモンバランスや筋肉のバランス、神経のバランスまで崩すことができる。しかもこれは一度かけてしまえば元に戻れない。戻すには、私自身に解かせるしかないの」
シリルの変化が解けないことからおおよそ予想はできていたが、まさしくその通りだったエミの魔法の正体。つまり、一度動けなくなったミリアーナは逃れることができない。
「ホワイトムーン!!」
「!!」
馬乗りにした敵にトドメを刺そうとした時、横から白い髪の
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ