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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第589話】
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了のブザーが鳴り響き、そのままシャルはヒルトに身を預けた。
「……負けちゃった」
「悪いな、シャル」
「……ううん。 負けたけど、悔しいけど……それ以上に、僕……嬉しいよ?」
身を預けたまま上目遣いになるシャル、頬は紅潮し、瞳が僅かに潤みを帯びていた。
「勝てなかったのは悔しいけど……ヒルトの代表候補生、選出に一歩近付いたって事だもん」
ニコッと笑顔のシャル、ゆっくり俺から離れ――。
「ヒルト、連戦だけど大丈夫?」
「ん。 ……まあ大丈夫じゃないが、何とかって所かな」
肉体的な問題は無いものの、やはり精神的に連戦はキツい。
精神鍛練していても、限界というものもある。
「何にしても、専用機持ち後八人……何とかやってみるさ」
「……うん」
不安げな表情のシャルの頭を撫で、ヒルトは再度補給の為に戻るのだった。
一方で――。
「いやはや、不味いですよオーランドさん」
「わ、わかってる。 ……落ちこぼれが何で勝てる!!」
ヒルトの三連勝という結果に憤る反対派、正直男の広告塔は一夏だけで充分なのだ。
一夏には何より、織斑千冬の弟――機体はあの篠ノ之束が関わったとされる白式なのだ。
いくら有坂ヒルトが世界初でも、それしか話題性がなく、特にスター性も感じられないのが代表候補生になっても仕方ないのだ。
それに――反対派の優遇してる企業の全部が織斑一夏に自社の製品を使ってもらいたいと言ってきてる。
「……オーランドさん、どうします?」
「……ふんっ。 ……そういえばレイアート会長、専用機持ち全員と言っていたな?」
「え、えぇ」
「……今から急いで、出ていない専用機持ち――それも教職員含めて検索しろ、いいな」
「わ、わかりました」
「待て。 ……それと、次は無理でもその次の落ちこぼれが相手する専用機持ちにはパッケージ装備を義務つける様にしろ。 会長にもそう伝えるんだ」
「りょ、了解しました!」
そう、専用機持ち全員と言っていた事を思い出したオーランド。
更に、パッケージで専用機持ちの性能を底上げさせれば連勝を食い止められるかもしれなかった。
「更識楯無は無理なのは仕方がないが、まだ居る筈だ。 ……専用機を持つ者がな」
不敵な笑みを浮かべるオーランド、なにがなんでも阻止しようと企むのだった。
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