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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第589話】
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込めた爆煙が晴れていく――その中心には、周囲にハニカム状の防御膜が張られているヒルトの機体、イザナギの姿があった。
しかも普段は装着しないフルフェイスヘルムを着けていて、フルスキンと相まってまるで有坂真理亜が開発したPPS黒夜叉に酷似している様にも見える。
淡く紅の光を点すツイン・アイ――機体色と共に放たれるヒルトからのプレッシャーを敏感に感じたシャルの額と背中を汗が伝う。
夏は過ぎ、秋も深まる季節なのに伝う汗は、シャルにとって気持ちのいいものではなかった。
だけど、そんな事よりもシャルは更に先手を打つべく、ヴェントによる一斉掃射を始めた。
同時にヒルトも、電磁投射小銃による射撃戦を始める。
距離を維持した射撃戦――空中を彩る黒と橙、電磁投射小銃による射撃を物理シールドで受けるシャルだが明らかに威力が桁違いで、直ぐにただの鉄屑へと変貌していく。
一方のヒルト、フルフェイスヘルムによって強化されたハイパーセンサーで、空中を縦横無尽に動き回るシャルを捉えていた。
物理シールドが無ければ既に半分は削っていたであろうシールド・エネルギー、まだ一〇〇程しか削れてなかった。
繰り広げられるドッグファイト、近中距離という事もあり、射撃、近接戦闘と互いに譲らなかった。
「やっぱり、強い! ……でもねヒルト、僕だってとっておきがあるんだから!!」
瞬時加速で間合いを詰めるシャル――更に其処から加速力が上がった。
一夏も使う二段階瞬時加速――間合いをゼロ距離まで詰めたシャル、一閃を浴びせて横を切り抜け、置き土産と謂わんばかりにフラググレネードを置いていく。
ゼロ距離からの爆発はヒルトを一瞬にして呑み込む――更に二段階瞬時加速で離脱しつつ、爆発に向かってサブマシンガン二挺による弾雨が降り注ぐ。
シャル自身のヒルト――否、ヒルトだけじゃなく未来や美春対策でもあった。
三人の機体に共通する迎撃機能――実弾全てをインターセプトする鉄壁の守り。
元々は宇宙から飛来する隕石迎撃の為に開発された物を、ISが運用可能なレベルまでサイズダウンした機能だ。
サイズダウンした結果、隕石等の破砕には役に立たないが、銃弾等の命を脅かす脅威を完全に防ぐ。
ISの射撃武器はいまだにほぼ実弾、防御機能としては最高ランクとも謂える。
シャルの機体にある武器の大半は実弾――ヒルトも言う通り、相性は最悪なのだ。
だけど――そんな迎撃機能もゼロ距離なら機能は難しい。
だからこそのとっておきである二段階瞬時加速を此処で使ったのだ。
此処で見せる事によって、シャルには新たな技能と手札が一枚あると皆に認識させる事が出来る。
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