0055話『怒ってないよ…』
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弥生は笑顔を浮かべる練習も出来なくなってしまう…。
みんなに少しでも柔らかい笑顔と言えないけど笑みを浮かべられることが弥生の目標…。
その目標が遠ざかってしまう。
それだけは駄目だと心が訴えている。
だけど今の気持ちがそれを覆い隠してしまっている。
「卯月…弥生は、どうしたら、いいかな?」
「どうしたら…? 簡単な事ぴょん」
卯月は弥生の悩みを簡単な事と言った。
そんな反応をされるとは思っていなかったためについ卯月にきつい視線を浴びせてしまった。
「…これは久々の弥生の睨み、怒ってるぴょん…?」
「怒って、ないよ…」
「いや、今はうーちゃんの言葉が悪かったぴょん。弥生が怒っても仕方がない事だよ…。
でもね、聞いて弥生。弥生の悩みを晴らすことはとても簡単な事だぴょん」
「どういう事…?」
それで自然と睨みはなくなって疑問だけが浮かんで卯月に問いかけていた。
そして卯月はこう言った。
「その誰かが謝ってくるまで待つぴょん。
そしてもし謝ってきたら素直に許してやるぴょん。それはとても簡単な事なんだよ?」
「許せる、かな…?」
「それは弥生の気持ち次第だぴょん。でもいつも通りの弥生なら大丈夫だぴょん。
いつもしかめっ面で怒っていると誤解されやすい弥生だけど、その気持ちの底ではもっとみんなと仲良くなりたい。怒っていないって言いたいって思ってるぴょん」
「………」
卯月の言っている事は本当だ。
弥生は、もし謝られたのなら素直に許すと思う。
そしていつも通りの言葉を言うんだ…。
『怒ってないよ…』って。
「…それで? 二人はどうしたんだい? 文月に水無月…?」
「弥生ちゃんに謝りたいの…」
「…うん。水無月はふみちゃんと一緒にやよちゃんのぬいぐるみを見つけてつい羨ましいと思って色々とやよちゃんに内緒で二人でいじっていたの」
「うんうん。それで…?」
私は二人に優しい声で語りかける。
ただでさえ文月の方は涙目なのだ。
だから強く叱れないじゃないか。
「そしてついふみちゃんとぬいぐるみの取り合いになって、カッとなって引っ張り合っちゃったんだ…。そしたら…」
「ぬいぐるみの腕が破れちゃったの…それで文月と水無月ちゃんはつい怖くなって、逃げちゃったの…」
二人は素直にそう白状してくれた。
そして二人は謝りたい気持ちがあるのも確認できた。
なら後はやる事は一つだ。
「それなら素直に弥生に謝ろうか。なぁに、弥生もいつも通りに『怒ってないよ…』って言ってくれるさ」
「そう、かな…?」
「姉妹の事を分かってやれないでどうするんだ? 勝手知ったる仲だろう?」
「そうだよね…うん、ふみちゃん、やよちゃんにすぐに謝ろう!」
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