運命の出会い
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ップを荷台から降ろして配りはじめた。
農夫は自分の分は用意していたらしく、荷台から包みを取り出すと御者台に戻り、一人で食事を始めている。手綱を結べるところが無いので、馬番もしなければならないのだ。この農夫は3人を運ぶ契約を教会と結んだが、指定された教会へ連れていって契約の残りの金貨を手にするためには、確実に3人を運ばなければならない。
悪魔が跋扈し、疫病が蔓延するこの時代、農作業していても無事で済むとは言い難く、この農夫は、教会がエクソシストを各地に派遣する為に、馬車や荷馬車を出す農家に金貨を出すという話を聞きつけ、申し出た一人だった。
農作業は家族兄弟でこなしていたが、一人また一人と悪魔に襲われたり、疫病に患って命を落としたりで、家族唯一の男手になってしまい、金貨が直ぐ手に入ると言うことで、新米エクソシストの移動に荷馬車を提供したので、なにか起こって3人を運べなければ、残りの金貨を入手出来なくなる。それを懸念するのも仕方のない事である。
そんな事情を知ってか知らずか、3人はサンドイッチを片手にお喋りに高じていた。
「ルゥちゃんて、元々この世界の人じゃなかったの〜っ?ビックリだわ〜…」
「ソフィアは修道院育ちって事は、根っからのこの国の住民なんよね」
「う、うん。そう……なるかな」
どうりでルゥの着ている服が、この辺りでは見掛けない姿形をしていると、ソフィアは思った。
ソフィアは普段からシスターの服を着用しているし、べティは町民と似たり寄ったりな服を着ている。3人に共通してるのは、聖書とともに、配布されたロザリオで、それ自体が教会が認定したエクソシストの証明になっている。
「でも、思ってたよりはエクソシストになるのって簡単だったわね〜。そう思わない?」
「そうやねぇ〜。まさか、祈りを捧げると天使が降臨するとは思わんかったわぁ〜」
「エクソシストになるだけなら、簡単だけど、なってからが大変なのよ…」
「んじゃあ、食事も終わった事だし、お祈り(ヒーリング)しとく?」
食事とお祈りを済ませ、暑い時間を避けるべく休憩を続けていたが、ソフィアだけはミルク缶とブリキコップををまとめ持つと、遠く聞こえるせせらぎの音を目指して歩き始めた。
木陰を振り返ると、ルゥとべティがお互いに寄りかかりあいながら昼寝をしていた。
あまり大きくないせせらぎが、やがてソフィアの目の前に現れた。流れに突き出ている岩にしゃがみ、ためしに手を浸して見ると、雪解け水なのかとても冷たく、それが逆に心地よい。
一つコップを手に取り川の水で濯ぐと、川の水を汲んで飲んでみる…。
冷たくて、それでいておいしい。
まだ、町までは相当の距離がある。ソフィアはミルク缶を水面に沈めると、両手でミルク缶を回しては
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