全ては皆の笑顔のために
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思ったままだったかも……」
「僕は昨日の夜、このフロンティア中にある監視カメラの映像を調べてその時の様子を見た。ジャックが助けに来たタイミング……いくらなんでもぎりぎりすぎる。まるでジェムが折れる寸前までほっといたみたいだった」
思い返してみれば、ジャックは最初から助けてくれたわけではない。戦いの途中、ジェムが相手の言うことに唆されて堕ちそうになった時にようやく来ていた。バトルフロンティアには至るところにフロンティアの様子を中継しているモニターがあったから、ジャックの持つ伝説のポケモンの力があれば確かにもっと早く助けられたかもしれない。
「ジェム、君はバトルピラミッドでジャックの居場所まで行ったんだよね。……その時、ジャックは何を見てた?」
「えっと。あの時は私に背を向けて、大きなプロジェクター……を……」
ジェムはそこで気づいてしまう。ジェムがドアを開けた時には彼は暇だったからと言って自分に背を向けてアニメを見ていた。でももっと前からジェムが挑戦中であることは彼は知っていたし、ピラミッドを昇るジェムと会話もしていた。本当に、暇を持て余して自分に背を向けていたのか?
本当は、ジェムがどうしているかをあれでずっと監視していたのではないだろうか?
「だ……だからなんですか?ジェムの師匠なら教え子を鍛えるために放置してたとか、せいぜいそんなところでしょう。昨日の事とは関係ないのです」
「少し横道にそれたかもしれないけど……僕が言いたいのは、あらかじめジェムが本当に危なくなったときに助けることのできる人間を用意してたってことだよ。そして僕の予想では、昨日はジャックとは違う人間がその役目を持っていたはずなんだ」
「ジャックさん以外の人……それが、お父様だってこと?でもそんなことをするなら……最初から助けてくれた方が危なくなかったんじゃ」
「……違う。チャンピオンじゃない。ジェムは僕やバーチャルに負けた後すごく落ち込んでた。それを見て助けに来てくれた人がいるよね?」
今までの道のりを思い出させるようなダイバの言葉に対しジェムは思考を巡らせる。助けに来た、というには荒っぽかったけど、心当たりはある。しかしそれを口に出す前に、ダイバが話し始めてからずっと黙っていたドラコが竜の息吹を吐くように轟轟と言葉を放った
「ふっ……ふはははっ!ダイバ、随分核心に確信があるようだが……所詮貴様はまだ幼い子供だな」
「僕が間違ってるって言いたいの?」
「そうだ、お前の推測など児戯にも等しい!そんなつまらぬ考えなど私が噛み砕いて飲み込んでやろう!」
「ドラコさん……?」
ジェムにとって信じたくない言葉を否定してくれる。それは本来心強いことのはずだ。だが今まで黙っていてこのタイミングで否定する。
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