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フロンティアを駆け抜けて
全ては皆の笑顔のために
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「本当に勝ちましたか……ま、おめでとうございます。わたしとしても旅に出るのが早くなりそうでいいのです」
「一緒に旅するの、楽しみにしててくれてるの?」
「さあ、よくわかりません。あなたが言う償いをさっさと終わらせたいだけかもしれませんしね」
「それでもいいわ。……自分勝手で迷惑な私の事、見守ってね」
「……いいですよ、その辺は持ちつ持たれつです」

 生きるために他人を欺き食らい続けた毒使いの少女。彼女が本心ではジェムの善意や傲慢さをどう思っているのかはわからないし、今でも食らう機会を伺っている部分はあるのだろう。それでも今こうして悪意を向けることなく会話をして、幽かにだけど笑ってくれる。それを確認して、また一つシンボルをはめる。

「ふふ……流石私が強者と認めた相手だ。今はお前こそこのフロンティアで一番……もうここまで来たらチャンピオンにも勝ってしまえ」
「私に出来るかな……でも、ドラコさんが言ってくれるとなんだか出来そうな気もするわね」
「当然だ、我が竜たちを退けておいて負ける気でいてもらっては困る」
「じゃあそのために、また色々教えてくれる?」
「当然だろう」

 激しく厳しく、竜そのもののような強さで転んだり迷う自分を叱咤激励してくれたドラゴン使いのお姉さん。自分よりずっと大人びていて、ジェムがアルカ、ダイバと接するのを支えてくれる人がすぐそばにいるのはとても心強い。そんな人がまっすぐ自分の強さを認めてくれるのは、とても嬉しい。六つ目のシンボルをはめ、ダイバが声をかけてくる。

「……今までの事、悪かった。僕は自分が強くないことを認めたくなくて……チャンピオンの娘である君に言うことを聞かせて強いって思おうとしてた」
「ダイバ君は強いよ……誰が何を言ったって私はそう思う。それにここに来たばかりの私も全然大したことなかったのに自分の事強いって思いこんでた。だからこれからは……お互い対等な、お友達になりましょう」
「友達なんて今までいたことないからよくわからないけど……好きにすれば」
「大丈夫よ、ここに来て初めて出来たんだから!」
「……そう。まあ、だからこそかな」

 静かで暗い、だけど自分よりもずっと真剣に親に近づくために勝負を重ねてきた少年。なんとか勝てたけれど、それはダイバに焦りと自分や親に対する幻想があったからこそ。彼はこれからもどんどん強くなるだろうし、その時はもうジェムが追い付けない高みに達するのかもしれない。でも今は自分よりも小さな背中を、命令じゃなく似た境遇の人間としてそっと支えてあげたいと思える。

「じゃあこれで……最後のシンボルね」

 ジェムが最後の一個、昨日獲得したバトルタワーのシンボルをはめる。するとフロンティアパスがぼうっと
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