アージェント 〜時の凍りし世界〜
第二章 《暁に凍る世界》
白峰暁人
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こう。)
ドウェル・ローランという名前を頭の中に刻み込む。
「……呼ばれている、のでしたね?引き留めてすみません。」
「いえいえ……では、私はこれで。」
去り行くドウェルの背中を、エヴァは注意深く見送った。
「話して欲しい事は山ほどあるんですが……」
目の前に座るドウェルにクロノはこう切り出した。
「まず始めに、白峰暁人とはどういった関係でしたか?」
クロノからの質問に、ドウェルは思わずといった風に苦笑を漏らす。
「……何です?」
「いえ……先ほどローズマリー三尉にも同じ質問をされたものですから。」
そう前置きしてドウェルは語り始めた。
「私と白峰暁人の父、白峰日暮は共通のテーマを持つ研究者として親しくしていましてね。研究テーマは古代の魔導技術。主な対象はアージェントに古くから伝わる固有魔導技術……便宜上《アージェント式》と呼んでいますが、それとロストロギア《スノウスフィア》です。」
意外な関連に、聞き手一同が目を丸くする。
「暁人君は父親が解明したアージェント式の魔法を学んでいまして、研究も何度か手伝ってくれました。彼のデバイスも、古代遺跡からの出土品を暁人君自身が近代化改修したものです。」
「それってロストロギアじゃあ……」
「いえ、確かに研究対象としての価値はありましたが性能的には現在のデバイスと同等か、やや劣ります。」
ハボクックの意外な来歴である。
「彼には妹がいましてね。いつも兄の後ろを付いて回っていて……本当に仲の良い兄妹でした。」
懐かしむ様に語るドウェルに、三人はただ黙って聞いている事しか出来ない。
「妹の氷雪君には莫大な魔力が眠っていました。そうですね……ここに居る皆さんの魔力の合計と同等か……或いはそれ以上の。」
「なっ!?……いくらなんでもそれは……」
「多過ぎるで……殆どロストロギアやんか……」
「……そうです、多過ぎたのです。氷雪君の幼い体では、その過ぎた力に耐えきれなかった……。」
「……それは、どういう意味で………」
「…………言葉の通りです。強大な自身の魔力に耐えきれなかった氷雪君はやがて体調を崩し……そして、魔力暴走を起こした。父親と母親は……状況から見てまず即死でしょう。第一波を免れた暁人君も氷雪君を助けようと……結果、第一波を上回る魔力爆発に呑まれ、遺体も残らずに消えてしまった………。」
ドウェルはそれきり沈黙している。あまりに衝撃的な話に、三人も何も言えないでいた。
ややあって口を開いたのはクロノだった。
「彼が……白峰暁人がスノウスフィアを強奪する理由に、心当たりは?」
「……恐らく、
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