アージェント 〜時の凍りし世界〜
第二章 《暁に凍る世界》
白峰暁人
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になる情報が幾つかあったが、まず第一にそこである。これだけの情報が、どうして今まで出てこなかったのか。
『そうだね……結論から言うとね、『白峰暁人』って言う人間は現在、存在していない筈なんだ。』
「「「なっ!?」」」
『白峰一家は四年前、妹の氷雪が起こした魔力暴走で死亡している。白峰暁人は死んだことになってるんだよ。だから魔導師検索に引っ掛からなかったんだね。』
「ちょっと待て!じゃあ奴は幽霊だとでも言うのか!?」
『それがね……事故当時の捜査資料を見たんだけど、両親の遺体しか見つかって無いんだ。一応兄妹の分の血痕も致死量で見つかったから魔力暴走で遺体も残らないくらいに跡形も無く消し飛んだって事になってるけど……事故の検証作業も途中で不自然に打ち切られてる。つまり……』
「死んだフリしとったってことやね。でも、何でや?」
はやてが結論を引き継ぐと同時に新たな疑問を提示する。何故、暁人は生存を明かしていないのか。何故、暁人が犯行に及ぶのか。その辺りの事はまだ一切分かっていない。
「……それを説明してくれるかも知れない人が来たぞ。」
ディスプレイに映された来客のアイコン。モニターには神妙な顔付きのドウェル・ローランが映っていた。
エヴァ・ローズマリーは管理局情報部所属の三等空尉である。情報部には諜報担当の一課、防諜担当の二課、分析担当の三課があり、彼女の所属は二課だ。
彼女がアースラに来た理由は表向きは戦力強化だが、その裏で護送計画が犯人にリークされているという疑惑の内部調査がある。
しかし、彼女自身が情報源である以上、今暫くは特定されるような事は無いだろう。
そんな彼女がアースラ艦内を散策していると、前方から近付いてくる人影が一つ、ドウェル・ローランその人である。
「おや、ローズマリー三尉、奇遇ですな。」
「ローラン博士?どうしたのですか?」
「いえ、クロノ艦長に呼ばれてましてね。犯人について知っている事を教えて欲しい、と。」
「……犯人をご存知なんですか?」
「ええ、まあ。色々とありまして。まさか彼が犯人だとは知りませんでしたが。」
他愛もない話をしつつエヴァはドウェルを観察する。見た目は誠実で生真面目そうな、学者というより学生の様な人間だ。
「失礼ですが……犯人とどの様なご関係で?」
「何故そんな質問を……失礼、三尉の立場では、そのように疑うのも当然ですね。」
エヴァのやや穿った質問にもにこやかに応対するドウェル。
「彼の父親とは昔親しくしていましてね。その折に少し。」
話す様に嘘は感じられない。しかし、どうにも白々しい様な何かをエヴァは感じる。
(……一応、暁人に伝えてお
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