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【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。
0054話『ウサギのお人形』
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まで連れてきたんだろう?」
「うっ………嘘だと言いたいけど言ったら買って貰えなくなるぴょん…」
「卯月…今回ばかりは、司令官の、勝ちだね…」
「むすー…いいぴょん。今回ばかりは素直になるぴょん」
「よーし、いい子だ」

そう言って私は卯月の頭を撫でてやる。
そしてくすぐったそうな顔をしながらも、卯月はさらに上機嫌になってその照れ隠しか弥生の詰め寄った。

「弥生! お揃いのウサギさんを買うぴょん!」
「…いいけど、同じものが二つあると迷うよ…?」
「ふっふっふー…抜かりはないぴょん。弥生はピンクのウサギ。そして卯月は青いウサギの人形を買ってもらうぴょん」
「なるほど。それならお互いにお揃いのウサギの人形を買えるな」

それで「むふー」と偉そうな声を出している卯月はいいとして、私は卯月のご要望通りに二つのウサギの人形を買おうと思い店員さんに聞いてみたが、

「…提督さん。すみません、実はいまピンクのウサギの人形は切らしていまして…」

店員さんのその一言に卯月は分かりやすく『ガーン!』という声を出していた。
弥生も弥生で口を開きっぱなしにしていて今回は分かりやすくショックを受けているみたいだ。
…さて、どうするか。
青いウサギの人形なら数はあるんだけどな。
だけどそこで一つ閃いた事がある。

「店員さん。ここにラッピング用にピンクと青のテープはありますか? 特大サイズの」
「司令官…?」

卯月が少し不思議そうな顔になっていたけど店員さんはそれだけで私の意図をわかってくれたのか、

「ありますよ。すぐにご用意しますね」

そう言って二体の青いウサギの人形を奥へと持って行った。
しばらくして店員さんは二体の青いウサギの人形を持ってきた。
だけどさっきまでなかったのは片方の青いうさぎの人形にはでかいピンクのリボンが巻かれていて、もう片方も色が被らないように水色のリボンを巻いてくれていた。
しかも私の意図とは関係なく睦月型のマークである三日月の装飾まで施してある。さすが仕事ができる人は違うね。

「うわー…これはとてもいいぴょん!」
「うん…とても、可愛い…」
「店員さん、ありがとう。予想以上だよ」
「いえいえ。艦娘さんが喜んでくれるのでしたら頑張れますから」

まじ店員さんグッジョブだ。
そのまま二体のウサギの人形を購入して卯月は笑顔を、弥生はささやかな微笑みを浮かべてウサギの人形をそれぞれ抱きしめていた。
うん、これを見たかったんだ。
弥生も嬉しそうだ。
そんなこんなで私達は視察を終えて鎮守府へと帰還するのであった。








…だけど翌日、とある事件が起きた。
弥生のピンクのリボンがされている青いうさぎの人形が腕が千切れていたのだ…。



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