第29話<バカな司令官>
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亡者を探しながら基地へ戻る」
その場に居た全員が驚いた……日向を除いて。
大淀さんが意見する。
「司令、事前には負傷した捕虜がいるという、お話でしたが」
「事情が変わった」
私は周りを見回してから大淀さんに顔を寄せ小声で言った。
「落ち着いて聞いて欲しい、実は捕虜に逃げられた」
「……」
さすが大淀さん、それを聞いても眉一つ動かさない。
「この件は無線連絡も厳禁だ。敵も傍受して奪還に来るかも知れない」
私はチラッと陸軍を見ながら続ける。
「もちろん陸軍や憲兵にも伏せる……当然、彼らより先の発見が必須だ」
私は顔を上げた。
「以上だ。速やかに夕立及び寛代を収容して撤収せよ」
「了解」
大淀さんは敬礼した。
駆逐艦たちがバラバラと路地へ向かう。
夕立は愚痴を言う。
「あぁ、私も車が良かった。詰まらないっぽい」
「夕立、これも訓練と思え! 運ぶ方は、もっと大変なんだぞ」
足柄さんが諭す。
「私、もぉ大丈夫っぽいんだけど」
ぼやきながらも夕立は駆逐艦たちが広げる担架へ向かう。
その後姿を見送りながら私は空を見上げた。
「まだ日差しが強いな」
ただでさえ弱っている深海棲艦(大井・仮)は、この炎天下にウロウロして身体は大丈夫だろうか?
すると日向が言う。
「深海棲艦が心配ですか?」
「ああ。敵……だけどな」
日向は何かを詮索するような表情をする。
私は口には出さないが、あいつは敵でない可能性がある。そんな気がするのだ。
つい口に出た。
「でも私の命を狙っているし。なんだか複雑だな」
日向は微笑んだ。
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