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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四十五話 クラーゼン元帥
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ーが渋い顔をするはずだ。自分がきっかけで酷い事になったと思っているのかもしれない。

「軍務尚書も統帥本部総長も止めたのだがな。言う事をきかん。艦隊戦は殴り合いとは違うと言いおった……。そういう事ではないのだが……」
「……“威”の事は」

リューネブルクの躊躇いがちな問いかけにオフレッサーが首を振った。
「形のないものだからな、確かめることは出来ん。自分には“威”が無いと言うのか、そう言われては……」
「……」
思わずため息が出た。まるで子供だ。オフレッサーも遣る瀬無さそうな表情をしている。

「最後は喧嘩別れのようなものだ、そう思うならやってみろ、ああ分かった、やってやる、とな……。まあ艦隊戦に関しては俺は素人だ。その俺を司令長官にするのは確かにおかしかろう」

確かにおかしい……、しかしオフレッサーを宇宙艦隊司令長官か……。面白いと言うか型破りな事を考える人間が居る。軍務尚書か、統帥本部総長か、或いはミュッケンベルガーか……。指揮官が全てを考える必要はない、参謀を上手く使う事が出来るのであれば……、決断できるのであれば……、そういう事か……。

「それでクラーゼン元帥が……」
「そうだ、クラーゼン元帥が司令長官に、メルカッツ提督が副司令長官になる……。まあ上手くいって欲しいものだが」
そう言うとオフレッサーは渋い表情でワインを一口飲んだ。

オフレッサーは危惧している。どうやら帝国軍は余り良い司令長官を得られなかったようだ。もしかするとクラーゼン元帥は最初から宇宙艦隊司令長官の座を狙っていたのかもしれない。元帥であるのに実権のない幕僚総監という閑職にあることを不満に思っていたのかもしれない。だとしたらオフレッサーを宇宙艦隊司令長官にというのはクラーゼンにとって好機だったのではないだろうか……。

危険だな、クラーゼンは危険だ。ミュッケンベルガー元帥とはまるで違う、何となく反乱軍のロボス元帥に重なって見えた。自分の野心のために無茶をするような感じがする。こうなると気になるのは反乱軍だ。連中が誰を司令長官にするか、そして誰が司令長官を支えるのか……。十分に注意する必要が有るだろう……。

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