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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四十五話 クラーゼン元帥
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思います。弟も士官学校に行きましたから私が戦争に行けば母は家に一人なのです。どうしても戦場にいる私の事を考えてしまうのでしょう。私が昇進しても最近では喜んでくれません。それだけ危険なことをしていると思っているのです。
特に前回のイゼルローン要塞攻略戦では撤退作戦に参加しました。あの時の様子はマスコミが大きく報道しましたから私が負傷者の返還に関わったと母も知っています。一つ間違えば死ぬところだった、そう思うと胸が潰れるような思いをしたそうです。帰還した私の顔を見た母は、何も言わずに私を抱きしめ泣き出しました。私は何もできずただ母に抱かれているだけでした。
“大丈夫、ヴァレンシュタイン准将と一緒なら心配いらない。今回もちゃんと帰ってきたでしょう” 私はそう言って母を安心させようとするのですが、なかなか納得してくれません。母にとってヴァレンシュタイン准将は英雄ではなく娘を危険に曝す悪い男なのです。
七時半になりました、そろそろ支度を始める時間です。席を立とうとした私の耳にTVの女性アナウンサーが気になることを言いました。
『今日の午前一時半の事ですが、ヴァレンシュタイン准将が有る人物と密会をしていたことが分かりました』
え、密会? 相手は誰だろう? 司令部の女性兵士か、それとも後方勤務の女性か……。准将はエリートですし、外見も可愛いですから女性からは人気が有ります。相手に困る様な事はないでしょう。でも何時の間に? いつも最後まで残業していたのはデートを隠すため?
「サアヤ、早くしなさい」
「うん、すぐ支度する」
『二人はどこかに行っていたようです』
そんな事より相手は誰? 時間なんだから焦らさないで早く教えて!
『准将の官舎の前で地上車が止まったのですが、中に居たのはヴァレンシュタイン准将と……』
准将と? 誰? 早くしなさい!
『統合作戦本部長、シドニー・シトレ元帥でした』
……まさか、そういう関係だったの?
帝国暦 486年 1月 7日 オーディン オフレッサー元帥府 ラインハルト・フォン・ミューゼル
元帥府に有るリューネブルクの私室で俺は彼とワインを飲んでいた。どうしてそうなったのか良く分からない。気がつけば赤ワインが用意され、気がつけばなんとなく飲んでいた。まあ時刻は六時を過ぎているし、問題は無い。こういう時も有るのだろう。
年を越したが宇宙艦隊司令長官の人事は未だ決まらない。反乱軍も宇宙艦隊司令長官が決まらない。お互いに相手の人事が決まらないから焦る必要は無いと考えているのかもしれない。このままで行くといつ決まるのやら……。
カストロプ公の処断は宇宙艦隊司令長官の人事が決まってからとなっているらしい。場合によっては叛乱ということもある。実戦部隊の最高指揮官を決めて
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