第五章
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「剃っていなかったんだよ」
「それで今はですよね」
「不潔だって思って」
「それで毎日剃ってるんですね」
「思いなおしてな、あった方がいいのか」
また言った悠一だった。
「どうだろうな」
「まあ結局は店長がどうするかですね」
「生やすかどうか」
「それは」
「そうなるか、考えてみるか」
さらにとだ、実際にこう言ってだった。
悠一は髭についてさらに考えることにした、そうしていると不意に従兄妹の麻里奈、大学を出て神奈川で働いている彼女から携帯にかかってきた。それで出るとこう言われた。
「実は仕事辞めたの」
「何があった」
「会社が潰れたのよ」
だからだとだ、麻里奈はその大きめの薄いピンクの唇で言った、やや吊り上がっている目は二重のアーモンド型だ。白い面長の顔で鼻の形はよく細めの眉はいい形をしている。やや茶色がかった髪の毛は胸まで伸ばしている。背は一六二位ですらりとしたスタイルだ。
「これがね」
「それは辞めるんじゃないだろ」
「失業ね」
「それだろ」
「それで再就職先はね」
「もう決まったか?」
「八条海運の事務に決まったわ」
そこの企業にというのだ。
「事務でね」
「すぐに決まってよかったな」
「ええ、他の社員の人達も皆決まったしね」
次の就職先がというのだ。
「何しろ社長さんが急死して跡次ぐ人がいなくて」
「それで倒産か」
「そうなったから」
「そうした話結構あるな」
「業績がよくてもね」
例えそうであってもだ。
「次の社長さんがいないとね」
「どうしようもないからな」
「それで八条海運と取引があって」
「残った社員の人達はそこに再就職か」
「そうなったのよ」
「運がよかったな」
「いい社長さんだったけれど親兄弟全部に先立たれて親戚の人は皆手が離せないお仕事があって」
それで会社を継げずにというのだ。
「奥さんも子供さんもいなくて」
「寂しい人だったんだな」
「そうだったの、それで私はね」
「仕事先変わったか」
「そうした事情でね、後ね」
「あと、何だ」
「次の職場東京なのよ」
そこだというのだ。
「これまでは会社横須賀にあったから横須賀に住んでたけれど」
「東京に移り住むか」
「お兄ちゃんの家に住んでいい?」
悠一のその目を見て言ってきた。
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