第五章
[8]前話
「よかったね」
「はい、有り難うございました」
「今夜は」
二人は徹也に笑って礼を述べた、そしてだった。
徹也が見守る中それぞれの部屋の鍵を開けてその中に入った。徹也はそこまで見届けてからだった。自分の家に帰った。
そして後日事務所で立石にその話をするとだ、彼は笑って徹也に言った。
「ははは、わかってる娘達だな」
「そうなんですか」
「よくな、二人共若いのに」
二十代前半である、唯も夏織も。
「わかるんだな」
「わかるって何が」
「だから君のことがだよ」
まさにそのことがというのだ。
「わかってるな」
「そうなんですか」
「よくね、その通りだよ」
「俺はヒーローになったんじゃなくて」
「最初からなんだよ」
「最初からですか」
「なっているんだ、だからオーディションにも合格したんだ」
デビューのそれもというのだ、彼の人生を決めたそれに。
「変身しなくても」
「何かよくわからないですが」
「俺にもその娘達にもわかってるよ」
「そうですか」
「君はヒーローなんだ、最初から」
「それで今に至る」
「そういうことだよ、じゃあこれからも」
立石は首を傾げさせる徹也にまた言った。
「ヒーローとしてやっていこう」
「はい、よくわからないですけれど」
「そういうことでな」
「やっていきます」
徹也は立石の言葉の意味もわからなかった、だがそれでもだった。
彼の言葉に頷いてそうしてだった、芸能活動を続けていった。彼はヒーローと呼ばれ続けその中で活動していった。それを誇りとしていたがどうして最初からと言われたのかは自分だけはわからないままであったが。
変身しなくても 完
2016・12・14
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