第四章
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「二人でも大丈夫だよね」
「ヒーローだからこそ」
「二人を宜しくね、無事にお家まで送ってね」
「そうさせてもらいます」
「頼んだよ、ヒーロー」
最後は笑顔でだ、録音の人は徹也に頼んだ。そしてだった。
徹也は帰り唯と夏織の二人を彼女達が住んでいるマンションのその階まで送ることになった、雨なので三人共傘をさしている。
夜の道を歩きつつだ、二人は徹也に言った。
「今日は宜しくお願いします」
「お家まで」
「最近物騒ですしね」
「何がいるかわからないですから」
「本当にお願いします」
「私達の階まで」
「そうさせてもらうね、それと雨だから」
雨のことをだ、徹也は二人に言った。
「濡れない様にね」
「濡れたら風邪をひくから」
「だからですね」
「そうしてね」
こう二人に言うのだった、そしてだった。
徹也は二人を送っていく、その時にだ。
彼は二人の真横にいた、車道の車が来る方にだ。雨は強くなっていて行き交う車が水たまりの上を通って水飛沫が来そうだったが。
彼はその方にいた、二人はそれを見て気付いた。
だがその気付いたことはだ、お互いに顔を見合わせて言わなかった。そしてそのうえでだ。
徹也にマンションまで送ってもらう。そして階段を昇る時もだ。
徹也は二人の後ろにいてだ、若し二人が足を滑らせたりした時の用心に備えていた。二人はこのことにも気付いてまたお互いに無言で頷き合った。そうして。
二人のそれぞれの部屋がある階まで来た時にだ、二人で徹也に対して深々と頭を下げてそのうえで言った。
「今日は有り難うございました」
「ここまで送ってくれて」
「本当に有り難うございます」
「お陰で無事に帰られました」
こう礼を言うのだった、そしてだった。
徹也にだ、ここでも二人で顔を見合わせてから言った。
「今日でわかりました」
「柿屋さんがヒーローだってことが」
「運がよくてなれたんじゃないです」
「柿屋さんは最初からヒーローなんですね」
「えっ、どういうことかな」
当人は二人の言葉に戸惑った声で応えた。
「俺が最初からヒーローって」
「今日でわかりました」
「送ってもらって」
「柿屋さんは運がよかったんじゃないんです」
「最初からなんですよ」
「そうなのかな」
徹也は二人の言葉に首を傾げさせて言った。
「一体」
「ううん、ですから」
「行動がですよ」
「柿屋さんはヒーローなんです」
「最初からです」
「あの番組の時は変身してましたけれど」
「変身してヒーローになっていましたけれど」
それがというのだ。
「最初からだったんですよ」
「変身しなくてもヒーローだったんです」
「だからオーディションに受かったんですよ」
「自然に」
「言ってる意
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