第一章
[2]次話
天使の絵
アンドレア=デル=ヴェロッキオは厳しい顔で自身の工房で彫刻を彫っていた、元々厳しい顔がさらにそうなっていた。
そしてだ、工房にいる弟子達にこう言った。
「今私はこちらに忙しいからな」
「はい、絵はですね」
「私達が主にですね」
「やっていくんですね」
「そうしてくれ」
こう言うのだった。
「いいな」
「はい、わかりました」
「そうさせてもらいます」
「天使の絵の方は」
「私達で」
「頼むな、時にだ」
ここでだ、ヴェロッキオは弟子達の中で特に整った知的な顔立ちの少年に言った。
「レオナルド、いいか」
「はい、何でしょうか」
その弟子はすぐに師に顔を向けて応えた。実に利発そうな表情だ。
「一体」
「御前は特にだ」
こう彼に言うのだった。
「頑張ってくれ」
「この絵で、ですか」
「そうだ、どうもだ」
弟子にだ、ヴェロッキオはさらに言った。
「御前はかなり出来るからな」
「だからですか」
「若し外に出た時にいいモデルがいればな」
それならばというのだ。
「御前が描け」
「そうしてもいいんですか」
「その絵も仕事だがな」
ヴェロッキオが引き受けた、だ。
「今はこちらがあるからな」
「彫刻ですね」
「それに専念したい、そっちは御前達に任せてだ」
そしてというのだ。
「特に御前は好きな様に描け」
「わかりました」
弟子は師の言葉に応えた、とにかくヴェロッキオは今は彫刻に専念していて弟子達が絵にかかっていた。それはキリストの洗礼を描いた絵だった。
その絵を描く中でだ、ヴェロッキオに言われた弟子はある日外に出ていた時に美少年と出会った、それは天使の様な美少年だった。
その美少年を見てだ、彼は飛び上がらんばかりに驚いて彼に言った。
「君今時間あるかな」
「はい、何か」
「よかったら絵のモデルになってくれるかな」
こう彼に言うのだった。
「いいかな」
「絵ですか」
「まるで天使みたいだ」
美少年に対する最高の賛辞だった。
「だからだよ」
「絵のモデルにですか」
「そう、なってくれ」
彼に言い続ける。
「いいかな」
「はい、それじゃあ」
少年も応えてくれた、そしてだった。
弟子はその少年を工房に呼んで彼をモデルにして絵の中の天使を描いた、他の弟子達もそれぞれの仕事をしていてヴェロッキオは相変わらず己の彫刻に専念している。そしてその弟子は絵をひたすらに描き続け。
終わってからだ、ヴェロッキオに対して言った。
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