第六章
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颯水は利冴にだ、自分の左手の腕時計を見てから言った。
「けれど時間はね」
「そうね」
利冴も自分の左手の腕時計を見て言う。
「このエレベーターに乗った時と」
「殆ど変わってないし」
「二三分?」
「そうよね」
「ええと、食料品のフロアにね」
「行くってことでね」
そうしたことで話をいうのだ。
「そうお話したけれど」
「地下二階ね」
その食料品のコーナーだ。
「そこに行くけれど」
「何か他に行ってなかった?私達」
「そんな気がするわね」
「そうよね」
どうにもというのだ。
「何でかしら」
「他のフロアー行った様な」
「そんな筈ないのに」
「変なことね」
二人でエレベーターのボタンをチェックするが地下二階のボタンを押している、このことは間違いなかった。
そしてエレベーターの動きをチェックするとだ、地下二階に向かって降りていた。相変わらずエレベーターに乗っているのは二人だけだ。
それでだ、颯水はまた利冴に言った。
「やっぱり私達でね」
「このエレベーターの中にいるのは」
「他に誰もいないし」
「絵とかないし」
「そうそう、彫刻とかね」
「何もないわよね」
エレベーターの中にというのだ。
「何でこんなこと思うのか」
「不思議ね」
「訳がわからないわ」
「このことも」
どうしてもというのだ。
「地下二階が一番下なのに」
「そこからまだあるみたいに」
「そんな気がするし」
「そんな筈がないのに」
二人でお互いに波長が合うこともあってツーカーで話していき一緒に考えていくがどうしてもだった。理解出来ずに。
それでだ、二人で言った。
「考えても仕方ない?」
「全部有り得ないことなし」
「このエレベーターの中じゃ」
「どう考えてもね」
「この百貨店地下二階が一番下だし」
「そこからないから」
間違ってもそこから下に行く筈がないというのだ。
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