第二章
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「生姜とな」
「白牛蘇ですね」
「この二つをですね」
「常に食しておる」
こう言うのだった。
「夜の為にな」
「どちらも夜によいから」
「精がつく故に」
「食されていますね」
「日々」
「うむ、しかも味もよい」
生姜も白牛蘇もというのだ。
「白牛蘇にしてもな」
「牛の乳から作る」
「じっくりと時をかけて」
「昔からあるものですが」
「それもですね」
「食しておる、これがまた美味いからのう」
生姜と共にというのだ。
「病み付きにもなる。ではな」
「はい、今宵もですね」
「床に入られますね」
「そうされますね」
「当然じゃ、そして子が出来れば」
その時はというと。
「またな」
「はい、大名の方にですね」
「奥方か跡継ぎ様として」
「送られますね」
「その様に」
「そうじゃ、それも楽しみじゃ」
実にというのだった。
「良縁を考えることもな」
「そうですか、では」
「今はですね」
「そうして生姜や白牛蘇も召し上がられ」
「夜に励まれて」
「お子を」
「そうする」
こう言ってだ、家斉は生姜も白牛蘇も食べた。そして実際に夜の営みを励んだ。そうした日々を送っていたが。
昼はだ、彼は老中達によくこう言った。
「御主達に任せる」
「そうして頂けますか」
「我等にですね」
「この件も」
「そうせよ、間違ってもな」
ここでだ、家斉は老中達にこうも言ったのだった。
「寛政のな」
「松平様の様なことですか」
「改革はですか」
「するなと」
「その様にですね」
「そうじゃ、ああしたことは迷惑じゃ」
それこそというのだ。
「上にとっても下にとってもな」
「幕府も民達も難儀する」
「だからですな」
「そうした余計なことはせず」
「今の様に」
「そうせよ、よいな」
老中達に言って彼等に任せる、家斉自身はこれといって新しいことをする訳でもなく政全体を緩められるだけ緩めていた。
そんな状況を見て生真面目な者達は眉を顰めさせていた。
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