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繊細な猛将
第五章

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「よくやった、見事だったぞ」
「そうですか」
「ああ、敵に歩兵がいなかったからだ」
「それとバズーカが多くあったので」
「攻撃を決意して実行したな」
「そうです」
「エレファントは砲塔がなくて歩兵用の機銃も弱いしな」
 このことも言うのだった。
「そこまで考えてだな」
「そうしましたが」
「その見識もいい、攻められる状況だから果敢に攻めた」
 まさにそのことがというのだ。
「よくやった、御前みたいな奴がアメリカ軍を支えるんだ」
「そうなのですか」
「そうだ、またやってくれよ」
 笑顔でキャリーの左肩を右手でぽんぽんと叩きつつだ、パットンは彼に笑って言った。そしてこのことについてだ。
 軍全体で賞賛の対称とした、キャリーはそのことに大いに驚いてボルトに話した。
「何かな」
「びっくりしましたね」
「本当にな」
 実際にというのだ。
「これは」
「まさか軍全体で褒めてくれるなんて」
「そこまでしてくれるとかな」
「意外ですよ」
 ボルトにしてもだった。
「このことは」
「全くだな」
「そういえば将軍は勇敢な行動を取ったら」
「その時は手放しだな」
「褒めてくれます、しかも」
「ああ、気付いたな」
「これでも士官ですから」
 ボルトはキャリーに少し苦笑いになって返した、自分達の中隊が今いる場所で食事を摂りつつ。
「わかりますよ」
「そうだな、バズーカを使ったこともな」
「敵が戦車しかいないこと、規模も考慮して攻撃したことも」
「褒めてくれたな」
「そうしたことも見てくれていますね」
「ああ」
 実際にとだ、キャリーも答えた。
「そのこともな」
「どうもですね」
「ただ勇敢なだけの人じゃないな」
「そうですね」
「まあそうじゃないとな」
 それこそとだ、キャリーも言う。
「将軍にまでなれないな」
「大将にまでは」
「なれないさ、蛮勇だけで将軍にはなれない」
「兵隊ならいいにしても」
「将軍は無理だ」
「アメリカ軍の人事もそこまで馬鹿じゃないですから」
「陸軍のな」
 少なくともそうした組織ではある、将官の任命には議会の承認が必要でここでもチェックされるからであろう。
「それもな」
「そういうことですからね」
「パットン将軍もな」
「わかってたんですよ」
 自分達が戦えてそして戦う選択を選んだことを。
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