第八章
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「こうしたお仕事したくないです」
「いじめ役はかい?」
「もうしたくないのかい?」
「そう言うんだ」
「もういいです」
心からの言葉だった、演技ではなく。
「収録の時凄く辛かったしネットで言われて街で石投げられて陰口言われて絡まれて」
「そんなことがあったのかい」
「それでかい」
「もういいって言うんだね」
「そうなんだね」
「はい、もういいです」
またこう言った。
「他の役、絶対にお願いします」
「いじめ役は二度としたくないのかい」
「そうです」
監督にも答えた。
「こんな役二度としたくないです」
「うん、わかったよ」
監督も七瀬が泣きながら言うので頷いた。
「そんなに辛かったんだね」
「本当にです」
泣きながらだ、七瀬は監督に言った。
「もう絶対にしなくないです」
「そうなんだね」
「何があっても」
花束を手に顔を濡らして言うのだった、そしてそれは秋本にも同じでだ。
事務所に収録終了を伝える為に向かいつつだ、車の中で言ったのだった。
「やっと終わって」
「よかったんだね」
「もういじめたりしなくていいんだね」
「うん、これでね」
「じゃあもうこれからは」
「二度とだね」
「したくないです」
「陰口言われたんだったね」
秋本は七瀬に起こったそのことを聞いた。
「駅で」
「学校で先輩達に絡まれたり」
「ネットでの書き込みは僕も見たけれど」
「一回見て吐きそうになりました」
見て精神的なダメージを受けてだ。
「そうなりましたし」
「あと子供達に石を投げられて」
「痛かったです」
「そうした話は実際に昔もあったんだ」
過去のいじめをテーマにしたドラマでいじめ役を演じた役者達にだ。
「罵られたり石を投げられたり」
「私みたいにですか」
「自分の子供がいじめられたこともあったらしいよ」
「そうだったんですね」
「七瀬ちゃんも同じだったんだね」
「子供達私を成敗するって言ってきたんですよ」
このこともだ、七瀬は秋本に俯いた顔で話した。
「悪い奴だって言って」
「子供だからね」
「頭や顔に当たっていたらって思うと」
今思うと結構大きな石だった、左肩に当たったそれも。
「怖いです」
「子供達本気だったんだね」
「私をやっつけようとしていました」
「そのこともあったからだね」
「はい、もういじめ役だけは」
心から言うのだった。
「したくないです」
「わかったよ、じゃあね」
「はい、本当に他の仕事お願いします」
「それじゃあね」
「いじめるお芝居をしても辛いしネットでの書き込みも抗議の手紙もリアルでされたり言われることも」
そうしたこと全てがというのだ。
「二度と・・・・・・」
七瀬はその場に泣き伏
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