第五章
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「早く収録終わって欲しいわ」
「このお仕事自体ね」
「早く終わって欲しいわ」
「ネットの私達の評判見た?」
ここで別の者が言ってきた。
「酷いわよ」
「えっ、そんなに?」
「そんなに評判悪いの?私達」
「そんなになの」
「携帯かスマホで観て」
こう他の面々に言うのだった。
「酷いから、巨大掲示板とかドラマの公式サイトのファンレターでも」
「じゃあ」
「今から」
七瀬達はここで観た、そうした掲示板やサイトをだ。その場で実際にスマホや携帯を出してチェックするとだった。
全員だ、地獄に落ちた様に落ち込んでしまった。
「何、これ」
「死ねとか犯されろとか普通に書いてるじゃない」
「抗議の手紙送れとか」
「私達の事務所への抗議電話かけろとか」
「名前と顔は覚えたとか」
「無茶苦茶書いてるじゃない」
「これ何よ」
いじめ役全員で落ち込んでしまった。
「無茶苦茶じゃない」
「皆こんな目で私達観てるの?」
「私外に出たくない」
「学校行きたくないわよ」
「皆にこんな目で見られてるとか」
「酷過ぎるわよ」
心から落ち込んで口々に言った。
「そりゃいじめ役だし」
「憎まれ役だけれど」
「こんなに書かなくてもいいじゃない」
「死ねとか消えろとか犯されろとか」
「お芝居よ、これ」
「お仕事のことなのに」
相当に落ち込んでしまった、それで七瀬はこの日の仕事の後収録現場から帰る時に秋本に言った。彼が運転する車の後部座席から。
「あの、私の評判って」
「演技の評判?いいよ」
秋本は運転しているので前を見つつこう答えた。
「ネットでもね」
「そのネットでの書き込みですけれど」
「見たんだ」
「・・・・・・はい」
俯いて答えた。
「あの、あれって」
「そう書き込みはあるから」
「そうですか」
「こうしたドラマだとね」
「だから気にするなですか」
「そうだよ、気にしたらね」
それこそとだ、秋本はバックミラーで後部座席の左側の席に俯いて座っている七瀬に対して言った。
「きりがないよ」
「そんなものですか」
「そうだよ、それでね」
「それで?」
「これから何か食べるかい?」
さりげなくだ、秋本は七瀬に気を使って心のケアに回った。
「お寿司でも」
「お寿司ですか」
七瀬の好物である、それもハマチが特に好きだ。
「今から」
「うん、どうかな」
「じゃあ」
好きなものなので気を幾分取り直した、そのうえで秋本に答えた。
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