第二章
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「そうしても」
「そうそう、是非ね」
「読んで、ですね」
「役の勉強をしてね」
「わかりました」
「やっぱり原作があるとね」
そうした作品ならというのだ。
「原作を知ったらやりやすいからね」
「そうなんですよね」
これまでもそうしたドラマやアニメに出て来たからわかる、こうした勉強を欠かさないのも七瀬のいいところだ。
「じゃあ」
「うん、是非ね」
「漫画も読みます」
「そのキャラはいじめの主犯から見て三番手位で」
「一番酷いいじめをですか」
「するから、主人公を変に恨んでて」
「何か嫌な役みたいですね」
七瀬は秋本の話に余計に暗い顔になった。
「その役が次の役ですか」
「悪役も出来たら」
これまでの役に加えてというのだ。
「大きいからね」
「だからですね」
「そう、頑張って演じてね」
「女優としてですね」
「成長もしてね」
「わかりました」
七瀬は内心いじめ役なぞ自分に出来るのかと思っていた、だが仕事なので受けることにした。そして原作の漫画を読み勉強してだ。
秋本にだ、さらに暗い顔になって言った。
「あの、ちょっと」
「いじめが酷いっていうんだね」
「酷過ぎません？」
こう言うのだった。
「これドラマでもするんですよね」
「うん、多分ね」
「そう、ですか」
俯いてだ、七瀬は秋本に応えた。
「私がこうしたことをですか」
「するんだよ」
「実際にドラマの中で」
「頑張ってね」
「はい、ですが」
「嫌かな」
「物凄い酷いですから」
そのいじめがというのだ。
「出来るかどうか」
「それでもね」
「制作側からのですね」
「七瀬ちゃんにして欲しいっていうから」
七瀬の演技力を買ってであるのは言うまでもない。
「だからね」
「それじゃあ」
「頑張ってね」
「はい」
こう答えはした、だが七瀬は原作を読んで自分にこんないじめが出来るのかと不安になっていた。だが制作発表会もあってだ。
実際にドラマの収録がはじまった、いじめが徐々にはじまり。
主人公であるいじめられる役の牧野絵里依とも仲良くなった、絵里依は七瀬より一つ下で売り出し中のアイドルだ。七瀬と同じく演技力が評価されている。髪型はボーイッシュな黒のショートヘアで背は七瀬よりも五センチ小さい、整った顔立ちと明るい笑顔が売りだ。スタイルもよく七瀬がしないグラビアの仕事でも引っ張りだこだ。
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