第一章
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成敗
車田七瀬は黒のショートヘアに大きな黒目がちの丸い目、小柄に童顔といった可愛らしいスタイルが受けている。しかも演技力がいいのでだ。
デビューしてからまだ女子高生ながら女優として活躍していた、その彼女にマネージャーである秋本浩平はこう言うのだった。
「七瀬ちゃん演技いいからね」
「だから女優としてですか」
「売り出しているんだ」
実際にそうしているとだ、秋本は一五五程の七瀬からしてみれば頭一つ出ている長方形の顔から言ってきた、顔立ちも髪型もターミネーターの様だ。
だが口調は穏やかでだ、こう七瀬にも言うのだった。
「才能があるからね」
「そんな、才能とか」
「あるよ、だってすぐに役に入るし台詞も熱心に覚えるし」
つまり役にのめり込むタイプであるからこそというのだ。
「アイドル路線よりもね」
「女優路線ですか」
「それでいくといいって思ってね」
「それでデビューからドラマや映画メインで」
「声優もやってもらってるね」
「はい」
七瀬はそちらでも有名だ、声優としても演技派として知られている。
「色々と」
「歌やバラエティもいいけれど」
「私の場合はですね」
「演技の才能があるから」
まさにそれ故にというのだ。
「それでいってもらっているんだ」
「そうだよ、じゃあね」
「はい、これからもですね」
「ドラマや映画や声優で宜しくね」
「わかりました」
「それで今度の仕事だけれど」
秋本は七瀬にこちらの話もした。
「テレビのドラマでね」
「そっちのお仕事ですか」
「学園もの、いじめがテーマ」
「いじめ、ですか」
そう聞いてだ、七瀬は暗い顔になった。いじめをしたこともされたこともないが見たことはありいい気持ちはしなかった。それでそうした顔になったのだ。
そしてその顔でだ、秋本に言った。
「そうしたドラマですか」
「オファーが来てるんだ」
「あちらから」
「うん、それでね」
「そのドラマにですか」
「出ることになったから」
「いじめられる役ですか?」
七瀬は秋本に自分が演じる役柄について問うた。
「私は」
「いや、いじめ役だよ」
「えっ、いじめられる役じゃなくて」
「そう思ったよね」
「いじめ役って悪役で」
実は七瀬は悪役をしたことはない、主役はなかったが主人公の友人や妹といった役が多い。そちらで評価を得てきたのだ。
ライバル役もあるにはあった、しかしだったのだ。
「それもかなり陰湿な」
「そうそう、何でも漫画が原作でね」
「いじめの漫画ですね」
「七瀬ちゃんはそのグループの一人だから」
「いじめをする」
「その中でも特に酷いいじめをするみたいだよ」
「その原作の漫画読んでいいですか?」
七瀬は秋
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