第四章
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「私もマンションに暮らしてるし」
「そうなんだ」
「お父さん、お母さんと三人でね」
「マンションに暮らしてるんだね」
「こうして周りに山もなくて」
桐子は周りの山も見つつ話した。
「川だってね」
「ないの?」
「あっても小川とかはないの」
練馬にはというのだ。
「東京自体にね」
「小川ないんだ、東京には」
「コンクリートや土手が周りにあって」
「そんな川しかないんだ」
「そうなの、それでね」
桐子は宗則達にさらに話した、三人で仲良く田んぼと田んぼの間の細い道を歩いている。稲穂が実っている田んぼの上には赤とんぼがいて中から蝗が出て来る。雀が近くを飛んでもいる。
「こうした道もなの」
「あぜ道?」
「ないのよ」
「何か想像出来ないね」
「私もここはじめて見たわ、ただテレビとか携帯はね」
「一緒なんだ」
「東京もこっちもね」
そうだというのだ。
「一緒よ」
「それは変わらないんだ」
「けれど本当に田んぼとか小川とこうした道は全然ないわ」
「東京ってそんな場所なんだ」
「人も車も凄く多くて」
このこともだ、桐子は二人に話した。
「私ここに来て凄くびっくりしてるの」
「田んぼとか見て」
「そうなの、特にね」
さらに話した桐子だった。
「ええと、川のところで回ってる木の丸い」
「水車?」
拓哉が尋ねた。
「あれかな」
「そう、あれ」
桐子は拓哉が指差した方を見て頷いた、川のところで今も回っているそれをだ。
「あれね」
「あれ水車っていうんだ」
「あれが水車なのね」
「それで近くにあるのが水車小屋だよ」
「そうなのね」
「水車とかもはじめて見たんだ」
「そうなの」
実際にというのだ。
「東京にないから」
「そうなんだ」
「東京はお家やマンションばかりで」
「それで水車ないんだ」
「田んぼとかも」
「虫もよ」
桐子は丁度自分の顔の横を飛んだ蜻蛉を見て言った。
「こんなに一杯いないよ」
「へえ、虫もなんだ」
「こんなにいないんだ」
「バッタも」
桐子は今度は足元の蝗を見て二人に話した。
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