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蒼き夢の果てに
第7章 聖戦
第169話 落ちて来るのは?
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「空爆ですか?」

 ゲルマニアの飛行機群がリュティスを攻撃しようとした時のように?
 かなり訝しげな表情で俺を見つめるランスヴァル卿。彼が放つ気配はかなり否定的な気配。おそらく、無辜の民を巻き込む戦闘行為に嫌悪感を示したのだとは思う。
 確かに、無差別の爆撃行為。これは真面な騎士の所業ではない。

「そもそも、我がガリアの両用艦隊にゲルマニアがリュティスを攻撃する際に使用しようとした爆弾なる物は未だなかったと記憶して居るのですが」

 もしかしてアカデミーでは極秘裏に研究、開発を済ませていたのでしょうか?
 相変わらずの陰気を放ちながら続けて問い掛けて来るランスヴァル卿。出来る事ならばそのような物を使用せずに済ましたい。そう言う気配が濃厚なのだが……。
 ただ……。

 ただ、この辺りの事情も、アルビオンが浮遊島と成ったのが、俺が召喚される五分前の出来事だと考えている根拠。
 そもそも地球世界で飛行機が発明されたのが一九〇三年。
 そして、初めて本格的な爆撃が行われたのは第一次大戦中の一九一五年の事。つまり、たった十年ぐらいで地球世界では飛行機を戦争に用いるようになっている。
 然るに、このハルケギニア世界ではどうか。
 アルビオンが浮遊島となったのは……詳しく調べた訳ではないので定かではないのだが、おそらく数百年以上前の話。実は調べようと思えば何時でも調べられたのだが、もし、俺がそのような行動を起こせば、その瞬間に過去の事実が改竄され、その為に必要な情報が矛盾の少ない形で改変される為に、わざと核心となる部分。つまり、飛空船の歴史を調べるような真似をせず、空爆用の爆弾に類する物がこのハルケギニア世界に存在するのかを調べるに止めたのだ。
 その結果はランスヴァル卿が口にした通り。
 マスケット銃や臼砲が存在する以上、導火線を使用する打ち上げ花火程度の爆弾ならば即座に作り出す事も可能なはずなのに、それを上空から落として砦や街を破壊する、……と言う至極単純な戦術すらこの世界の軍人は思い付いていない。

 ハルケギニアは平和で戦争などない世界だった可能性は……ない。ガリア、アルビオン共に王と王弟が争う状態。エルフとは六千年ほどにらみ合いを続けて居り、魔法に至っては攻撃系の物が中心で、平時に使用出来る物の方が少ないぐらい。
 ハルケギニアに暮らす人々がみんな馬鹿。これもあり得ない。少なくとも召喚されてから俺と関わった人物に、そう表現すべき人間はあまり居なかった。

 おそらくどんなに古く見積もっても、飛空船が現われたのはここ十年以内の事。それ以前はそんな物は必要ではない世界。つまり、大ブリテン島は地球世界と同じ位置に存在する普通の島だった可能性の方が高い。
 そもそも、そのアルビオンが浮遊島に成った理由は世界を混乱さ
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