第7章 聖戦
第169話 落ちて来るのは?
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来ているのか。その辺りの事情をもう少し知りたいトコロなのだが。
その問いを聞いたランスヴァル卿が難しい顔をしながら首を横に振った。しかし、懐から二十センチ四方程度の紙を差し出して来る。
これは――
「魔法に因る諜報は一切成功して居りませんが――」
ハルファス卿により調達して貰った写真機で写す事に成功した城壁の様子です。
……と、そう言いながら数枚の写真を差し出すランスヴァル。
少し眉根を寄せ……ハルヒが言うトコロの眼つきの悪い状態で写真を覗き込む俺。其処に写っていたのは……。
「これは対空砲か」
こりゃまた厄介な物を手に入れたな。そう言う呆れにも似た感覚で言葉を吐き出す俺。
全長は五,六メートルと言う感じか。黒鋼色の砲身がまるで蒼穹を威嚇するように伸びている。詳しい種類まで正確にいい当てる事は出来ないが、この場に集められた戦車がすべてティーガーU。更に言うと、捕虜としたゲルマニアの兵たちが装備していた武器もMP40など、すべて第二次大戦中のナチスドイツ製の火器である事から考えると、この城門の上に配置された対空砲はおそらく、同じナチスドイツ製の八十八ミリ対空砲である可能性が高い。
まぁ、こんな物騒な物が装備されている城を、いくら魔法があるとは言え中世程度の科学技術しか持ち得ない軍隊で攻めるのは……正直、無謀と言うしかないか。
あれは確か榴弾も発射可能だったよな。……とか、ティーガーUの装甲と八十八ミリ対空砲の水平射撃。どちらの方が上だったかな。T34は瞬殺出来る能力があったと思うが。などと言う一般的な高校生には分からないマニアックなネタが頭の中で駆け巡り……。
前面装甲なら五百メートル以内に入らなければ多分大丈夫。但し、相手は十五メートルほどの高さのある城壁の上に設置されている以上、戦車上部の装甲に付いては微妙、と言うか、おそらく無理、と言う結論に達する俺。
対してシュラスブルグの城門の強度に関しては……謎。少なくともハルケギニアの強化の魔法が相手なら、ティーガーの八十八ミリ砲の前では何の防護にもならない。
しかし、相手は本来、ハルケギニアの魔法では行使不可能な魔法に因る諜報を無効化する結界を行使出来るので……。
「対空砲を備えている以上、相手は両用艦隊に因る空爆も想定している可能性もある」
そう答える俺。但し、現在、ガリアの両用艦隊は去年の反乱騒ぎから未だ完全に回復出来ずにいる状態。その代わりにハルファスを通じて手に入れた強風や二式大艇は対アルビオンの最前線より動かす事が出来ないので、シュラスブルグ攻略戦に投入する事は出来ないのだが。
もっとも、城壁の上と言う限られた空間に設置出来るのが高射砲であった。そう言う可能性の方が高いとは思うのだが。
しかし……。
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