第7章 聖戦
第169話 落ちて来るのは?
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ルケギニアでは重商主義すら存在しない状態。但し、それは視点を変えると搾取の上に成り立って居た世界の構造を最初の段階から変える事が出来る可能性を得ている、と言う事でもある。
このチャンスを見逃す手はない。……とも思うのだが。
もっとも、例え五百年先の未来を瞳が見つめて居たとしても、目先の聖戦を無事に切り抜けられなければこれは絵に描いた餅。真っ新のキャンバスに絵具を置く前に人生自体が終わって仕舞っては何も意味がない。
因って……。
「ない……事もない。その程度の策ならあるのですが……」
かなり歯切れの悪い雰囲気でそう答える俺。
ただ単に火星と木星の間にあるアステロイドベルトから小惑星をひとつ招き寄せただけならば、今の俺に取っては脅威でも何でもない。デカい……。ダンダリオンが言うには、今現在、地球と月の引力が安定している点、所謂ラグランジュ・ポイントと言われている場所に留まっている全長十キロに及ぶ小惑星であろうとも、力任せにぶん殴れば地球に堕ちて来る事はまずあり得ない。
しかし、ここに伝説や神話が関わって来ると話は変わる。
伝説や神話で蒼穹の彼方から巨大な何かが落ちて来る、と語られている内容をなぞるように事態が推移するのなら、間違いなくその何かは地上へと落下。その結果、伝説や神話で語られている内容と同じような事態が起きる事となる。
スルトが剣を振るう度に広がる滅びの炎……と言うのは、おそらく上空から落ちて来た小惑星がぶつかった後に起きる可能性のある地殻津波や岩石蒸気などと呼ばれる状態の事を暗示しているのでしょう。
この事態を防ぐには、その神話をなぞる現象の核。今回の場合だと、遠いなどと言う言葉も陳腐に思えるほどの遙か彼方に存在するアステロイドベルトから小惑星を呼び寄せている魔法を阻止する。もしくは、落ちて来る隕石にまで出向いて、その物語の核と成っているスルトと、彼の神の乗る蒼穹翔ける軍船を撃退する。このどちらかの方法しかない……と思う。
もっとも、スルトや軍船を撃退出来たとしても、その隕石落としを可能とする魔法の方をどうにかしなければ、直ぐに次の術を行使されるのがオチなので……。
ちなみに恐竜を絶滅させた隕石の大きさが十キロから十五キロ程度と推測されているので、今回俺たちの頭上に落ちて来る可能性のある小惑星と同等か、それよりも少し大きいサイズと言うべきなのでしょう。
この辺りはおそらく誤差の範囲。少しぐらい今回の方が小さいからと言って、その事によって起きる被害の大きさが変わるとも思えない。
何にしても策はある。但し、その前に……。
「シュラスブルグ城内に対しての魔法による諜報は成功していますか?」
この城攻めに、這い寄る混沌や名づけざられし者が何処まで絡んで
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