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蒼き夢の果てに
第7章 聖戦
第169話 落ちて来るのは?
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明治維新が起きたのか。何故、維新以後、日清、日露と日本が戦争に明け暮れるようになって行ったのかを知っている日本人の俺が今この場所に居て、このような人物がガリアの王に成るのを認める訳には行かない。

 もっとも、明治維新に関して言うのならイギリスとフランスの代理戦争……泥沼の内戦状態とならなかったと言う点から言えば、当時の徳川慶喜は非常に優秀な人物だったのでしょう。その辺りがきっちりと見えていたのでしょうから。

「それで殿下。そのアルザス侯の野望を阻止する策は何かお持ちなのでしょうか?」

 一応、ゲルマニアから奪った戦車と言う代物は用意して有りますが、あの砲を使用なされるのですか?
 野戦陣地の外れの方向に視線を向け、少し声の調子を変えるランスヴァル卿。
 う〜む、その雰囲気を表現するのなら、何となくなのだが、新しいオモチャで遊んでみたがっている子供のような雰囲気と言えば良いのでしょうが……。

 ランスヴァル卿の視線を向けた方向に視線を移す俺。その方向には、迷彩色を施された黒鋼の車体がその重量は破壊力にやや相応しくない、少し地味目な自己主張をしている。
 まぁ、こいつ等は所詮お飾り。並べて遊ぶ分には楽しいかも知れないが、俺や、ゲルマニアの暗黒の皇太子、それに名づけざられし者をこいつ等でどうこう出来る能力はない。……と言うか、俺の仙術で能力が格段にアップしている現在のガリアの騎士たちでさえ、あの程度の兵器ならば五分でナマスにして終えるでしょう。

 そう、確かに国境の関所(その時には全員退避した後で、既に無人だった)を八十八ミリ砲で吹き飛ばしたまでは良かったのだが、国境付近の広大な森を進む内に道に迷い、先鋒の戦車部隊と、第二陣の歩兵の部隊とが引き離され……。
 元々、異常に重い車体だったこのナチスドイツ製の重戦車は地霊たちの作り出す底なし沼から脱出する事が出来ず、結果、すべてほぼ無傷の状態で鹵獲される事となった。

 尚、戦車の乗員や、戦車の部隊に付き従っていた歩兵はすべて捕らえられ、現在はマジャール領内にある捕虜の収容施設に放り込まれている状態。まぁ、前世の例から言って、こいつ等に対してゲルマニアが身代金を払うとも思えないので、このまま捕虜から農奴として一生を終える可能性が高いでしょうね。
 まぁ、彼らには奴隷市場に流されないだけマシ……だと考えて貰うしかないでしょう。少なくとも農奴と奴隷は違う。
 実際、これから先のガリア。聖戦後のガリアは人手がいくらあっても足りない状態となるのは間違いない。おそらく産業革命によって工業化が進んで行く西欧と、其処に食糧を供給する為の東欧と言う役割をガリアは自らの国内のみで賄う事となる。

 国家百年の計などと言う言葉もあるが、俺の抱いている青写真は三百年。未だ植民地すら持たないハ
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