第7章 聖戦
第169話 落ちて来るのは?
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それに……。
それに、少なくとも俺の描いた青写真の通りに動いてくれるのはジョゼフ……と、俺自身だけでしょうから。
これから先の歴史。ユグノー戦争は起こらないとは思うが、それとほぼ同等に厄介なエルフを相手の聖戦は既に発生している。新大陸やアジア、アフリカに植民地は未だゼロだが、地球世界のフランス以上に厄介な多民族国家のガリアには、それぞれの民族が独立戦争を起こす可能性も高い。アルビオンの前王朝を滅ぼしたレコンキスタは元々、ガリアからスペインの独立を目指す組織だった可能性が高いし、アルザス侯爵の起こした反乱も当然のように、民族の独立を目指した戦争と言う側面も持っている。
産業革命をガリア発で起こし、植民地に頼らない形の国の運営。更に、地域間の格差、東欧と西欧の産業革命以後に起きた格差の問題も、それがこのハルケギニア世界ではガリア一国で発生する可能性がある。
流石に機械化が為されていないこのハルケギニアの農法では、穀倉地帯の生産力を簡単に上げるには今のトコロ農奴の大量投入以外に方法がない。確かに将来は農地解放などの政策を進めるべきなのだが、一気に改革を進めると貴族やその他の有力者の不満が溜まる事となるので、それは得策ではない。
まして今まで命令に従って生活して来た連中に対して、お前たちはこれから自由にして良い。その為に農地は与えてやろう……などと言って、農地解放を行ったとしても、数年後にはその農地の半分が荒地。耕作放棄地に成っている可能性が高いのは地球世界のアフリカの例が証明している。自分の農地を得る事に因って一人一人のやる気が上がり、生産性が一気に倍加する、などと言う夢想を抱く統治者は単なる馬鹿。頭の中に御花畑が存在している類の人物。
そのような人物は残念ながら為政者には向いてはいない。
この辺りの難しいかじ取りがあの……俺が知っているアルザス侯シャルルと、今回の人生でガリアからの独立戦争を起こしたアルザス侯が同一の存在ならば、彼奴に出来るとは思えない。四つ、すべての系統をスクエアに極めた事から自ら大帝と名乗る、自意識過剰で魔法至上主義者のシャルル・マーニュ殿には。
そう。タバサの予想通りなら、俺の知っている彼奴は魔法が使える自分たちこそが優秀であり、他の魔法を使えないような虫けらどもは自らたちの奴隷であって然るべき、と考えている人物。ある意味、第二次大戦前の欧州やアメリカを支配していた連中と同じ臭いをさせる人物でしたから。この様な人物がこの世界のトップに君臨するガリアの王位に就けば、以後の歴史は地球世界の歴史とどっこいそっこいの酷い物となる可能性は高い。
パクス・ロマーナやパクス・アメリカーナならぬ、パクス・ガリアーナと言う世界が訪れる事は間違いないでしょう。
何故、日本で
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