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蒼き夢の果てに
第7章 聖戦
第169話 落ちて来るのは?
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虔な信徒の振りをしてアチコチに魔法でノートルダムの神殿を建設。その他にもかなりの額の寄進を行うなどの行為に因り分からないとは思いますが、心の中ではこの胡散臭い宗教の事を一切信用していない俺からすると、其れも仕方がない事なのでしょう。
 大体、この世界の住人は何故、始祖ブリミルが行使したと言われている伝説の魔法を虚無と呼ぶのか。その辺りに付いても、誰に聞いても明確な答えを返してくれはしなかったのですから。
 ……どう考えても、悪い予感しかしない呼び名を民族的英雄の行使した魔法の呼び名に使用する意味が分からないのですが。俺の感覚からすると。

 まるで世界を虚無に沈める為に。滅亡に瀕した世界を救う魔法だと思わせて於いて、いざギリギリの場面でそれを使うと、実はその魔法自体が世界を滅びに導くキーだった……と言うオチに辿り着かせる為の魔法ではないのか、と思えるのですが。
 俺にはね。
 当然、こう言うオチは這い寄る混沌の関わった事件では多く見られる類型でもある。……とも思えますし。
 まして世界の気の循環を妨げているのはその始祖が伝えたとされる系統魔法。世界の理を人の意志の力で捻じ曲げ、強い負の感情を糧とする魔法は、俺の使用する仙術や精霊の力を借りて使用する魔法と比べると世界の気の循環を妨げ、其処に悪い澱みを発生させ、更なる不幸の連鎖を発生させ続けている。
 普通に考えると、系統魔法を伝えたのがその始祖ブリミルと呼ばれる存在で、その始祖の行使していた魔法が虚無と呼ばれる魔法なら、その虚無と系統魔法の間に何らかの繋がりがあっても不思議ではない……のですが。

 現実に系統魔法と称される、この世界独特の魔法が行使されるようになってからどれぐらいの歳月が経っているのか定かではない。が、それでも、その結果今までこの世界に蓄えられて来た負の感情は凄まじい物に成っている可能性は高いと思う。
 その積み重ねが今の悪い流れを作り出しているのだから。

「流石に王たる資格のないアルザス侯に王位を禅譲すれば、それは神の御心に従わない外道な行為となる。そして王に王たる資格がないのに、それでも無理にそいつが王の位に在り続けると、更に悪い気の澱みが発生する」

 その結果、ガリアに住む民たちに災いが降りかかるのは間違いない以上、彼の要求を呑む事は出来ない。
 思想的な意味からの説明を行う俺。確かに現ガリア王家も、その始まりは簒奪の如き方法で王位を奪った気配……本来なら土気の王家のハズなのに、何故か金、もしくは水気の王家と成っているのはこの辺りが原因なのでしょうが、それでも、王位を得てから二千年近く経て居る上に、昨年には、簒奪者シャルルの登玉以来不和であった土の精霊との和解が為された以上、今の王家は神に言祝(ことほ)がれている、と言っても間違いではない。


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